まだ二十代の頃、上司は変わり者のアメリカ人だった。
デパートの売り上げをデーターを抽出するシステム管理の部署で働いていた時の話。
お店の売り上げデーターを記録する磁気テープ(昔のカセットテープの大きい版)に保存していた時代があった。
そのテープに曜日のラベルを貼らせて尚且つ曜日ごとに色付きテープを貼れと言われる。物凄く細かい指示が出る。
高さ4m近くあるデパートの電光掲示板の電球の交換!
レジの配線は匍匐前進で口にフラッシュライトを加えて屋根裏に入っての配線。朝3時までの勤務が数週間も続いた。
夜の従業員のスケジュール管理。オフィスの備品の調達。故障したレジの交換。レジの重さは20キロ!印刷用紙の重さは10キロ公用車の洗車は週1回! 私の体はみるみるうちに筋肉隆々!事務職のはずなのにブルーカラーの仕事もやらされていた。
色んなことが蓄積して上司に対する苦情文を上司の上司に提出。こうして上司との確執が始まった。
1年半くらいは喧嘩ばかりしていた二人。私を首にしたい上司はカウンセリングを行った。そのカウンセリングの用紙に私は上司からトレーニングを受けていないから署名しませんと書いて署名をした。(笑)
こんなことを続けてもお互いに良いことにはならないと思い、上司に思っていることをぶちまけた。きっと彼にも良いところはあるはず。私が変わらなきゃ彼も変わらない。相手を変えようと思ったらまず自分が変わらなきゃいけない。
「あなたは従業員を大切にしないから皆から嫌われている。」と告げた。
そのお陰で夜の従業員を含め、毎年クリスマスにはギフト券や従業員が辞める時には報償金を与えるようになり、夏にはアイスクリームパーティーを開催することになった。このパーティーでくそ女の私は他の部署の従業員に声を掛けてアイスクリームを分け与えた。行列ができてしまい、上司はアイスクリームの補充にお店に買いに行く羽目になって怒っていたが、皆は喜んでいた。
お互いに「このくそ女(ビッチ=Bitch)!」「このくそ男(バスタード=Bastard)!」と言い合える仲になった。(苦笑)
あまりにもくそ女と言われ続けた私は撃退方法を見つけた。「私がくそ女なら、あんたのお母さんもくそ女だろっ!」
「お前の母さん、でべそ〜」の小学生レベル!そして彼はあまり暴言を吐かなくなった。ピース!(大笑)
十数年後、その上司の安否確認の為にアメリカへ会いに行った。毎年クリスマスと誕生日にはカードを送ってきていた元上司。そんなに悪い人間ではない。本当は心の優しい人。彼はOCD=Obsessive Compulsive Disorderということを初めて知った。強迫性障害、簡単に言うなら潔癖性に近い。一つのことに拘って整理整頓してないと気が済まない病気。
病気だと知っていたら苦情文なんて出さなかったのにと反省。
でも1つだけ彼に良いことをした。彼が辞める前に彼の上司に手紙を書いて、上司が辞めないようにして貰えないかと他の部署の従業員から署名を貰って提出。
数十年経った今でも元上司はこのアイスクリームパーティーを開催している。そして私が出した手紙(良い方)を就職活動に使って今は連邦裁判所の職に就いている。
会いに行った時に「君のお陰で3度も就職ができた。この手紙のお陰だ」と言って、彼の部屋に大事に飾られていた私の手紙を指差した。
親子くらい年が離れている元上司は、歩き屁をする面白いお爺ちゃんに変身していた。(大笑)そして道端にいるホームレスにもお金を渡すいい人になっていた。
今日も元気に笑顔でお仕事頑張りましょう!(^^)/