肩書:ニューイングランド医学雑誌前編集長、ハーバード医学校社会医学科上級講師
参照著書:ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実
この本について、京都大学医学部教授の福島雅典は次のように述べています。
「本書に描かれている米国の医学研究の実態は、公正な学問であるべき医学への社会からの信頼を失わせるに十分であり、戦後米国医学が世界をリードし続けていることを考えると、医学がその存立基盤の根底から脅かされつつあることを憂慮せざるをえない」
「本書に描かれている医師や製薬産業の姿は、傲慢にも社会を欺き、生命を冒涜しており醜悪そのものである」
「本書は、医学研究が人間の都合で歪められ、正しい結果が得られていないという現実を暴き出す」
「これは他国の話ではない。わが国の現状でもある」
「こうした医学研究を取り巻く凶器の渦から逃れ、真実に照らされる正しい未来への道を拓く方法はあるのだろうか?答えは単純である。我々の目指すゴールが何であり、何を信じるのか。すなわち、真実を知り、妄信の生成されるメカニズムを知ることによって、洗脳を解くことである。本書は著者のそのような使命感によって執筆されたものである」
「本書がニューイングランド医学雑誌の前編集長の手によるものであるということに、欧米の社会の息づくノブレス・オブリージュ(高い身分の者にはそれに相応した重い責任・義務があるとする考え方)の伝統を強く感じる」
監訳者である精神科医の斉尾武郎も次のように言います。
「有名医学雑誌の編集長という仕事は、厳選された質の高い医学研究を世界中に向けて発信し、医学界をリードする医学の守護神のはずだ。その医学の守護神が、こんな奴らは信用なりませんよと、医学界、製薬業界、臨床医たちを激しく追及する。これは驚くべき、危機的状況だ」
最初に、筆者が最も重要だと考える事柄を7つあげています。
1.製薬会社が作り出しているのはゾロ新薬(すでにある薬を少し変えて新薬として出す薬)ばかりで、画期的新薬は少ししかないこと
2.米国食品医薬品局(FDA)が本来は規制する対象であるはずの製薬業界に隷属してしまっていること
3.製薬会社が自社の製品が関係する臨床研究に干渉しすぎること
4.特許や排他的販売権の期間が不必要に長く、いかようにも延長できること
5.製薬会社が自社の製品について、医師の教育に干渉しすぎること
6.研究開発、広告宣伝、薬価算定に関する情報が公開されないこと
7.薬価が高すぎること、不安定なこと
- はじめに 薬は他のものとは違う
「これから本書で製薬業界の真実の姿を白日のもとにさらしていく。それは製薬業界という、本来は役に立つ薬を作り出すという高い志を持っているはずの業界が、この20年間で、その志とはかけ離れたことをするようになってしまったということを明らかにすることである。今では製薬業界は価値の疑わしい薬を売りつけるためのマーケティング・マシーンに成り下がってしまっている」
「事実は製薬会社の宣伝していることとはまったく反対で、皆さんは支払ったお金に見合うだけのものを手に入れてはいない。事実は、製薬会社は私たちを欺いているということである。改革に目覚め、改革を決意した市民が改革の実現に向けて動き出さない限り、真の改革が起こることは決してない」
第5章 ものまね薬づくり 製薬業界の実態
「臨床試験で行われているのは、新薬と現在最善とされている治療との比較ではなく、プラセボとの比較である。このハードルは非常に低く、実際、新薬が既存の薬より劣っていても、プラセボ対照比較試験の結果に基づいて承認されるのである。製薬会社は、既存の薬と新薬との比較は絶対にしたくないと考えている」
第7章 押し売り 餌に、賄賂に、リベート
「医師への贈り物は時に非常に贅沢なものである。医師はいつでも好きなときに高級レストランに連れて行ってもらえる。そこで、製薬会社の用意した専門家がちょっとした講演をすることもある。医師への贈り物はたくさんある」
このように言い以下のUSAトゥデイ紙の社説を紹介し、「これらは皆、実態を正確に表している」と言います。
「クリスマスツリー。シャンパン・レセプション付きのワシントン・レッドスキンズの試合のチケット、ハワイへの家族旅行。大量の現金。こうした贈り物は、公務員や政府と取引している業者であれば、『収賄』の赤信号が点滅しそうなものだが、多くの医師には何の反応も引き起こさないのだ。製薬会社が競争の激しい市場に食い入ろうとするのを良いことに、医師たちは驚くほどたくさんの贈り物をまんまとせしめているのである」
第12章 宴のあと
「確実に訴訟の数は増えており、製薬業界は初めて弱みを見せるようになったのである。時が経つにつれ、訴訟の数は増える。これは製薬業界のイメージ・ダウンにつながる。塵も積もれば山となる。これは実に非常に大きな問題なのだ」
「ビッグ・ファーマにとって、最悪の問題は新薬の開発が先細りだということだ。2001年から次々と大ヒット薬の特許が切れていくのに加え、薬価を適正化せよという圧力も強まっていくが、これはまさしく製薬業界にとって災難であろう」
「製薬業界は今も巨人だが、もがき苦しんでいる巨人である」
第13章 製薬業界を救え 活きた金を使おう
「製薬業界のイメージは、製薬業界の膨大な広報活動によって作り出された幻影にすぎない。本書ではこうした幻影の中でも、最も重要なものの正体を明らかにしようと試みた」
「皆さんが命じなければ、議員が製薬業界に立ち向かうことはない。本書で筆者は読者諸氏を事実で武装しようと思った。確かに製薬業界は大きな力を持っている。しかし、最後にモノをいうのは皆さんの団結力なのである」
付録2 精神医学の実態
1.アレン・フランセス
2.ロバート・ウィタカー
3.井原裕
4.冨高辰一郎
5.マーシャ・エンジェル
6.デビッド・ヒーリー
7.内海聡