利他において何より大切なことが心根であり、利他心といいます。
「オキシトシンが作られるには、親切が心からのものでなければならない。手っ取り早く効果を獲たいからといい加減な気持ちで親切にしても、効果はあらわれない」(デイビッド・ハミルトン)
・形だけになりやすい
しかし、今まで意識してこなかった人には難しく、初心者は不自然な形だけの利他になりやすいです。
一見すると利他をしているように見えても、心根は「心の病を治したい」といった自利に心がかかっているということです。そういう心根でやっているという自覚もできていません。そのため、どうしてもテクニック的なことに走りやすくなります。これではあまり効果は期待できません。たとえば「人を幸せにすると疲れてしまう」という答えがよく返ってきますが、自利に心がかかった形だけの利他だとこうなってしまいます。
本当の利他をした時は必ず心が晴れます。たとえ肉体が疲れても心地よい疲れです。心が晴れないということは、どこか心がけが間違っていると思って間違いありません。
・形だけでもやる
心根を正すというのは一朝一夕にできるものではありません。ですので、まずは形だけの利他でもやるべきです。自分の心を見つめながら形だけの利他を繰り返すことで、後から心がついてきます。そして段々と利他心が伴った本当の利他ができるようになってきます。利他心の欠如が苦しみを生み出していたこともわかるでしょう。
「松陰の暗きは月の光かな」という古歌があります。月の光が輝けば輝くほど松の影は暗く濃くなっていくという意味ですが、善と悪の関係もこのたとえと同じことがいえます。つまり、善(利他)を行えば行うほど、自身の欠点がハッキリと見えてくるのです。善をしないと欠点を自覚できず、欠点を欠点と思えません。
・最初が1番大変
何でもそうですが、最初が1番大変です。
「最初の1歩で半分終わった」という韓国の格言もあります。
1つ1つの行為に全神経を集中させ、何度も何度もやらないと効果を実感できないかもしれません。それだけ今まで利他を意識してこなかったのだと反省し、実感できるまでやり続けることが大切です。すぐに効果が実感できなくて止めてしまう人も多いですが、行動した分だけ種まきは確実に蓄積されています。
「天王寺の釣鐘も指一本で動かせる」という話しがあります。天王寺の釣鐘は巨大なので、いくら強く押してもビクともしませんが、何度も何度も押し続けることで、たった指一本でも動かすことができます。このように、行動し続ければ、やがてグラッと動いて改善が実感できる時があるのです。
・常に意識を人に向ける
自利利他は大乗仏教の根本精神とされています。
怒る時も私憤からではなく、正論を言う時も理性だけでなく、どんな時でも常に、根底に利他心が流れていなければなりません。人と接している時だけではありません。アルコール依存症であれば、酒を飲む前も、飲んでいる最中も、飲んだ後も、常に酒ではなく人に意識を向けることが大切です。
・自然体
「普通の人ならこう振る舞うだろう」「こういうリアクションをするのが自然だろう」という具合に、変な人に見られないよう「普通」や「自然」を想像しながら演じている人も多いでしょう。「演技ではなく自然に振舞えるようになりたい」と願っていると思いますが、それも段々とできるようになってきます。
・恩を知る
利他をするのは大変なことです。利他をしてくれた人に感謝することが人間として正しい生き方です。
感謝することが心身に良い影響を及ぼすことを調べた研究もたくさんあります。感謝することが多い人は、不安や憂鬱が少なく、前向きな気持ちでいることが多いこともわかっています。
仏教は知恩・感恩・報恩の教えといわれ、「恩知らずは畜生にも劣る」と説かれます。
特に「親の恩」については強く説かれており、父母恩重経という経もあります(詳しくは第5巻)。親を恨んでいる人は多いですが、それは、0.0・・・・1%の親の悪い面にばかり目を向けており、99.9・・・・9%の親から受けた恩に目を向けられていないような状態です。
膨大な恩を受けながら、恩に気づくことができなければ必ず不幸になります。たとえば人間関係でも様々な悪い影響を及ぼします。
「親との関係は、多くの点で、人生を象徴している。親から多く与えられたと思う人は、人生からも多くを与えられていると感じがちだ。一方、親からほんの少ししか与えられなかったと思っている人は、人生からもほんの少ししか得られないはずだと思いがちだ」
「親との問題が解決されていないと、社会生活はもちろんのこと、職業人生にも悪影響が及ぶ。家族内の未解決の問題を職場でも繰り返し、信頼関係ではなく対立を生みやすくなる。そうした家族関係を上司や同僚に投影してしまうため、職業上の成功は難しくなる」(マーク・ウォリン著「心の傷は遺伝する」より)
1.5自利利他(人の幸せを優先する)
〇孤独の怖さ
〇利他の力
〇何をしたらいいのか
〇よく話す
〇利他心
〇利他の欠点
〇誹謗中傷の受け止め方