「生まれ変わり」とは「人が死んで、別の肉体で再生すること」です。

・勝五郎の生まれ変わり物語
・ヴァージニア大学の研究
・事例紹介
・何が生まれ変わるのか
・日本の生まれ変わり研究
・子供が親を選ぶ
・胎児の能力
・退行催眠

 

・勝五郎の生まれ変わり物語

まずは”実話”とされている次の話を紹介します。

今から200年ほど前、中野村(現在の東京都八王子市東中野)に勝五郎という8歳の男の子が住んでいました。

ある日、勝五郎が姉のふさと遊んでいた時のことです。

突然ふさに向かって、「この家に生まれる前は、どこの誰の子だったの?」と聞きました。

「おかしなことを聞く子だな」と思ったふさは、「どこの誰の子だったかなんてどうしてわかるもんか。じゃあ、お前は知っているの?」と聞きました。

すると勝五郎は「よく知っている」と言い、「程久保村の久兵衛という人の子で、藤蔵という名前だった」と語りました。

それを聞いたふさは「変なことを言うと、お父さんとお母さんに言いつけるよ」と叱りました。

勝五郎が泣いて詫びると、ふさは「それなら言わないであげる。ただし、悪いことをして止めるよう言っても聞かない時は必ず言いつけるからね」と言いました。

勝五郎が悪いことをするたびに、ふさが「あのことを言うよ」と言えばすぐにやめたため、親はあやしく思いました。

ふさに事情を聞いても言わないため、さてはどんな悪いことをしたのだろうかと、さらに問い詰めると、ふさはやむを得ずありのままに語りました。

話を聞いて不審に思った親は、直接、勝五郎に聞いてみました。

すると勝五郎は、自分は程久保村の久兵衛の子で母の名はおしづだったということ、また小さい時に久兵衛は死に、その後、半四郎という人が養父になったこと、そして自分は6歳の時に死に、後にこの家の母の腹に入って生まれたことなどを話しました。

子供の言うことだし、あまりにあやしい話なので、親はたいして問題にしませんでした。

そんなある日の晩、勝五郎が「程久保村の半四郎の家に連れて行っておくれ。あっちの両親に逢いたい」と、一緒に寝ていた祖母のつやに訴えました。

つやは真に受けず聞き流していましたが、その後も毎晩同じことを言うので、「それならここへ生まれるまでの話を始めからしてみなさい」と勝五郎に言いました。

勝五郎は「これはお父さん、お母さん以外には絶対に内緒だからね」とつやに約束させ、たどたどしい話し方ではありましたが、ここに生まれるまでの有様を詳しく語りました。

  • 前世のことは4歳ぐらいまでは覚えていたが段々忘れてしまったこと
  • 死ぬような病気ではなかったが薬がなくて死んだこと
  • 埋葬するために山に棺桶が運ばれ、墓の穴に入れた時の音の響きに驚き、今でもよく覚えていること
  • 僧侶が経を読んだがどうにもならず、何の意味もないのに僧侶たちは金銭を取っているだけなので憎く思えたこと
  • 家に帰って机の上にいたが、人に話しかけても聞こえず、誰も気づかなかったこと
  • 白い髭を生やし黒い着物を着たおじいさんに導かれ、綺麗な草原で遊んだこと
  • 供えてあった食べ物は食べることはできなかったけれど、煙の匂いでうまく感じたこと
  • おじいさんが、あの家に生まれなさいと言うので、その通りに庭の柿の木の下に3日ほどいて様子を伺い、窓から家に入って、竈の傍でさらに3日ほどいたこと
  • 家計を助けるために母が江戸へ奉公に行くという相談を父母がしており、それを竈の陰に隠れて聞いていたこと
  • その後、母の胎内に入ったように思うが、よく覚えていないこと
  • 母の腹の中で、母が苦しいだろうと思った時は、体を脇のほうに寄せたりしたことはよく覚えていること
  • この他、何のことであっても、4,5歳になるまではよく覚えていたが、段々に忘れてしまったこと

これを聞いたつやはますます不思議なことだと思い、程久保村に久兵衛という人がいるかどうか近所の人に聞いてみました。

すると、「久兵衛は死んで、久兵衛の子である藤蔵も死んでしまった」と話してくれる人がいました。

やがて、勝五郎のことが評判になり、「ほどくぼ小僧」という仇名がつけられました。

それからしばらくして、勝五郎が程久保村にどうしても行きたいと言うので、つやは勝五郎を程久保村に連れて行くことにしました。

勝五郎は、行ったことがないはずの程久保村のことをよく知っていて、つやが「この家かい?それとも、あの家かい?」と言うと、勝五郎は「まだ先だ、まだ先だ」と言いながら先に立って歩きました。

そして、ある家を見て「この家だ」と駆け入り、つやも後に続きました。

その家の主人の名前を聞くと「半四郎」と答え、妻の名前を聞くと「しづ」と答えました。

半四郎夫婦は勝五郎のことをかねてより人伝に聞いていましたが、つやの話を聞いて、あるいは怪しみ、あるいは悲しみ、共に涙に沈みました。

勝五郎を抱き上げて、じっくりと顔を眺め、「死んだ藤蔵が6歳の時によく似ている」などと言いました。

勝五郎は、抱き上げられながら向かいのタバコ屋の屋根を指さして、「前はあの屋根はなかった。あの木もなかった」などと言い、全部その通りだったので、ますます皆を驚かせました。

その後、勝五郎の生まれ変わりの話が評判になり、学者の平田篤胤(ひらたあつたね)が、とても興味を持ちました。

篤胤は勝五郎を自分の家に招いて詳しく話を聞き、それを「勝五郎再生記聞」という書物にまとめました。

・ヴァージニア大学の研究

勝五郎の話は海外にも紹介され、ヴァージニア大学精神科の主任教授、イアン・スティーヴンソンの目に留まり、その後の生まれ変わり研究のきっかけの1つになったといわれています。

スティーヴンソンは生まれ変わり研究のパイオニア的な存在であり、彼の研究を引き継いでいるジム・タッカーによれば、2500例の事例を集めデータベース化しており、南極大陸を除くすべての大陸で事例を見つけているとのことです。

「200項目の要因が列挙されており、それぞれの要因は数値化されてコンピュータに入力される。これらの項目には、中心人物の出生国から、中心人物の発言に対する両親の反応や、中心人物の家族と前世の家族との距離その他の、数十に及ぶ細かい項目に至るまで、かなりたくさんの要因が含まれている」(タッカー)

偶然の一致説や子供の記憶錯誤説、情報提供者の記憶錯誤説や遺伝的記憶説等々、こうした「通常仮説」をすべて検討して棄却した結果、最終的に最も妥当な解釈として残るのが「生まれ変わり説」だとしています。

・事例紹介

ここではNHKでも取り上げられた事例を1つ紹介します。

アメリカ・オクラホマ州のごく普通の家庭に暮らす9歳のライアン君。

母親のシンディによれば、ある夜、ライアンを寝かしつけていると、「実は僕は、昔は別の人間だったんだ」と話し始めたといいます。ライアンが繰り返し語ったという前世の記憶は次のようなものでした。

ニューヨークで踊っていた/ハリウッドに住んでいた/事務所を経営していた/母親はくせ毛だった/結婚して養女がいた/住所に「ロック」か「マウント」が入っていた/プール付きの大きな家に住んでいた/ファイブ上院議員に会ったなど

仕事から家族のことまで、多岐にわたる詳細なものでした。

シンディは4年にわたってライアンの発言を記録し続け、その記録は200項目以上にわたりました。

「聞いたこともないような言葉を使うんです。どうやって覚えたのか見当もつかないような。この子には知りようのない時代の話をしました。とてもこまごまとしていましたし、それにいつも同じことを言うんです。もしそれが作り話なら、何度も同じ話を繰り返すのは小さい子供には無理です。ライアンが話すことは正確に同じなんです。同じようなこまごまとした事柄、同じ人物、同じ名前の話をするんです」(シンディ)

不可思議な発言や振る舞いを見せるライアンの様子に両親は悩み、強い不安を感じます。

しかし、前世の記憶を真剣に訴え苦しんでいるライアンの話を両親は頭ごなしに否定せず、しっかりと受け止めることに決めたといいます。

シンディは、ライアンが前世に住んでいたというハリウッドの資料を集めてはライアンに見せるという作業を何か月も続けました。

ある日、映画に関する本を見せていた時のことです。

突然、ライアンが興奮して「ママ、ママ、やったね、僕を見つけたよ!これが僕だよ!」と叫んで、古い白黒映画の端役の一人を指差したといいます。

同じ頃、シンディはヴァージニア大学の研究を知り、ジム・タッカーに連絡をとりました。ライアン君に関心を持ったタッカーは、さっそく調査に乗り出します。

調査を始めてから半年後、ハリウッドの図書館で、ようやくその人物が特定されました。

ライアンが反応した映画のタイトルは「Night After Night」(1932年)で、ライアンが指差したのは名も無き端役の男でした。この男は1930年代のハリウッドの映画界にいたマーティ・マーティンという名で、1964年に亡くなっていました。

前世の記憶を言ったとされる記録と、マーティ・マーティンの人生が一致するかどうか検証していきました。

ニューヨークで踊っていたことや、ハリウッドでタレント事務所を経営していたことなど、複数の発言が一致しました。

さらに詳細な調査を行うため、タッカーとライアン一家は遺族に会いにハリウッドへ行きました。

母親がくせ毛であったこと、結婚して養女がいたことなど、家族しか知らないような情報も一致しました。「ロック」か「マウント」という言葉が入っていたという住所については、ロックスバリーという高級住宅街の、プール付きの豪邸に住んでいた時期があることも確認できました。知り合いにファイブ上院議員がいたという発言については、発言の似たアイブス上院議員という人物と懇意にしていたこともわかりました。

ライアンの発言と、マーティ・マーティンの人生には、数多くの共通点があることがわかったのです。

船で世界を旅した/豪華客船できれいな女性と踊った/タップダンスを踊った/映画で共演したカウボーイの俳優と友達/友達の俳優がタバコのCMに出演/セオドア・ルーズベルト大統領を支持/子どもに塗り絵の本をよく与えた/養女のために犬を飼った/よく浜辺に恋人を連れていった/サーフィンを眺めるのが好き/家にはレンガの壁/ピアノを所有/メイドを雇っていた/中国料理を好んだ/ネコが嫌い/ブルーベリーが大好きなど

調査が可能だった項目68のうち54項目が一致し、タッカーも「かなり高い数値だ。ライアンと前世の人物のつながりを示す強い証拠だ」と確信します。

以上、ライアンの事例を紹介しましたが、このような事例が2500もあるとのことですから否定することは難しいのではないでしょうか。ちなみに、著名な懐疑論者であるカール・セーガンでさえ研究に値する超心理研究の3つのうちの1つと評価しています(残りの2つはガンツフェルト実験と乱数発生器を使った実験)。

・何が生まれ変わるのか

スティーヴンソンは「心搬体」という用語を新たに作り出しています。これは「死後にまで記憶を持ち越す媒体」を指して使われる言葉で、「魂を運ぶもの」という意味のギリシャ語から考え出されたものです。

「宇宙には、物質的世界と心理的(あるいは精神的)世界の、少なくとも2つがある。この2つの世界は、相互に影響を及ぼし合う。我々がこの世にいる場合は、肉体と結びついているために、肉体なしには不可能な経験はさせてくれるであろうが、心の働きは制約を受ける。死んだ後には、肉体の制約から解き放たれるので、心理的(精神的)世界のみで暮らすことになるであろう。そして、その世界でしばらく生活した後、その人たちの一部あるいは全員が、新しい肉体と結びつくのではないだろうか。それを指して我々は、生まれ変わったと称するのである」(スティーヴンソン)

タッカーも次のように言います。

「それを意識と呼んでも、心搬体その他の用語で呼んでもかまわないが、『何らかの』存在が、前世から来世へと持続する可能性があることを示唆している」

「私たちが生きている間は脳が心の媒体として働くのであって、心は私たちが生まれる前から存在し、死後にも存続して新たな体に新たな媒体を見つけることができるという考え方が合理的である」

「現代の実例としては、テレビを考えることができる。もし自宅のテレビが壊れたら、画面に映し出される映像を見ることはもはやできないが、テレビは映像を作り出しているわけではなく伝達しているにすぎないので、他の受像機で映像を見るまでの間も、テレビ番組そのものは存在し続ける」

・日本の生まれ変わり研究

日本では、たとえば言語学者の大門正幸(中部大学教授)が、3~12歳の子供をもつ日本人女性およそ1000人を対象に調査し、次のような結果を得ています。

・過去世記憶(過去に別の人として生きてきた記憶):3.8%

・中間生記憶(前死と受精までの間の記憶):15.3%

・胎内記憶(母の胎内にいた時の記憶で、受精から誕生直前の陣痛開始までの記憶):86.4%

・誕生時記憶(生まれてきた時の記憶で、陣痛開始から誕生直後までの記憶):40.7%

ちなみに、国際社会調査プログラムの2008年の調査結果では、生まれ変わりが「ある」と答えた人が日本は42.6%だったとのことです。

独立行政法人経済産業研究所上席研究員の藤和彦は、「欧米諸国が『生まれ変わり』についての研究が着実に進んでいるのに対し、日本で過去の水準から一歩も進もうとしないのは皮肉というほかはないだろう。現在の日本で『前世』ブームが起きているのにもかかわらずに、である」と言い、「生まれ変わり」という概念を「医療資源」としてとらえ、次の政策を提言しています。

「社会全体にプラスの価値をもたらすこと(幸福感の向上や『社会関係資本』の活性化)が期待できる『生まれ変わり』の観念についての知見を深めるための研究プロジェクト(新死生学)を立ち上げる」 

また、彼は次のようにも言っています。

「『生まれ変わり』があるとすれば、私たちは、自分のため人に優しくしなければならず、その結果私たちの毎日は優しさで包まれるようになる(袖振り合うも他生の縁)。このような発想の延長に、血の原理のみによらない魂の原理に基づく『輪廻家族』という発想も出てくるだろう」

 

・子供が親を選ぶ

「たくさんの事例で、子供たちは次の両親を自分で選んだと語っている」(タッカー)

世間では「子供は親を選べない」などといった主張がなされていますが、子供が自分で親を選び生まれてきたという事例は多くあります。

医師で胎内記憶の研究者でもある池川明によれば、胎内記憶のある子供に、「陣痛は、お母さんが起こすの?それとも赤ちゃん?」と質問すると、全員が「赤ちゃん」と答え、子供は「そろそろ外に出ようと思って、出てきた」と答えるといいます。

「近年、胎児の肺から分泌されるサーファクタント(プロテイン)が子宮の筋肉を興奮させて陣痛を起こすという学説が発表されており、子供たちの証言と一致しています」(池川)

前世療法(催眠を利用した心理療法の1つ)で知られるブライアン・ワイス(マイアミ大学医学部精神科教授)も次のように言います。

「私たちは両親を自分で選びます。普通はこれまでの転生で縁のあった魂を親に選びます」

「私たちは母親が妊娠する前に、自分の環境を選び、人生の計画を立てているのです」

 

・胎児の能力

ジェーン・ロバーツというアメリカの作家がいます。

彼女は「セス」と名乗る人格を導く霊媒として知られており、セスの話を記録した一連の書籍は米国イエール大学の図書館に保存され、最も閲覧者の多い資料の1つだといいます。

今から半世紀ほど前に書かれたものですが、これまで説明したことと共通点が多いのは興味深いので少し紹介します。

たとえば時間や記憶について次のように語っています。

「過去、現在、未来を隔てる見かけ上の境界線は、君たちが物質的に知覚できる行為の量によって作られた幻覚にすぎない」

「物理的に私たちが処理できるデータの量には、限りがあります。私たちの神経学的構造に左右されるからです。でも、生まれてから今までに受け取った感覚はすべて、潜在意識の中にまだ無傷のまま残っています。私たちは現在に対処するために、そうした詳細な情報を『押しやって』しまうのです。注意を『現在の』あるまとまった出来事に集中してから、それを潜在意識の中へと落とし込むので、出来事は遠く離れていってしまうように見えるのです」

また、セスは胎児について次のように語っています。

「胎児は膨大なエネルギーとつながっている。物質的な人生で、それほどのエネルギーが、それほどまでに目的に向かって、そんなにも巧みに方向づけられる時期は他にはない。このエネルギーのチャージが、物質界への初めての突入を可能にするのだ。物質界に登場する人格は、文字通り無限のデータを変換するのに余念がない。その仕事の大半は、妊娠3か月目までにはすでに終わっている。新たなデータが、胎児と肉体的構造を形成するや否や、前世からの自己は、その掌握力を手放さなければならない。前世からの自己は、この誕生プロセスに短期間関わるが、産まれてくる新しい個人になるわけではないのである」

「新たな自己には、過去世の記憶が深く埋もれて眠っているが、最後の前世の自己の個人的な意識が、その新たな自己感覚の上に重ね合わせされてはいけないのだ」

「多くの場合、自然流産は新たな人格が、新しい肉体を構築することが困難な場合に引き起こされる」

「まったく文字通り、胎児は母親の体を通して、母親の体に助けられて外界を見るのだ」

「胎児は君たちや、彼の母親が見ている以上に見えているのである。というのも、君たちがある種のパターンのみを受け入れ、他のものは受け入れていない、ということを胎児はまだ理解していないからだ」

「胎児は君たちが受け入れていない、他の現実界を依然として部分的に知覚しているのだが、君たちが物質的現実と呼ぶものにのみ、焦点を合わせることを身につけ始めているのである」

「誕生後もしばらくの間、乳児は文字通り、一度に数多くの現実界を知覚している。乳児の意識がはっきりとしていないように見える理由の一部は、単にデータがそんなにも多いために混乱しているからなのである」

 

・退行催眠

子供だけではありません。

退行催眠によって過去世の記憶を引き出す事例もあります。

飯田史彦(元福島大学教授)の著書「生きがいの創造」より抜粋します。

「1979年になると、臨床心理学者のヘレン・ウォムバックによって、生まれ変わり仮説を統計的に実証する画期的な研究結果が発表された。

何百人もの被験者に退行催眠を行い、現在の性別には関係なく、紀元前二千年にまでさかのぼって退行した時のいくつもの人生の記憶に基づいて性別を記録してみたところ、50.6%が男性、49.4%が女性として生きた時の記憶であることが判明したのである。このように、互いに無関係な多数の被験者たちの過去生の記憶の総和が、男女比にしてほぼ同数であったことは、彼らの記憶が各人によって創作された嘘ではないことを物語っていた。

しかも、ウォムバック博士の被験者たちの多くは白人の中流アメリカ人であるにもかかわらず、過去生の記憶の数々は、世界における人種や階級、人口分布といった歴史事実を正確に反映するものであった。さらに、被験者たちが報告する、当時の人生で使用していた衣服、履物、食器などは、どの時代のものについても、みな歴史的事実と一致していた」

退行催眠による異言(学んだことのない外国語)を話す事例も紹介されています。

「ジョエル・L・ホイットン博士(トロント大学医学部精神科主任教授)は、ハロルドという被験者が、退行催眠によって過去にヴァイキングであった人生を想い出しながら口にした、当時の言葉を書き留めておいた。ハロルドは、自分が思いだした22の語句について、どれも理解できなかった。

そこで、専門家に鑑定を依頼してみたところ、アイスランド語とノルウェー語に詳しい言語学の権威が、それらのうち10の語句について、ヴァイキングが当時使用した言語で現代アイスランド語の先駆となった古い北欧語であることを確認した。他の語句については、ロシア語、セルビア語、スラヴ語から派生したものであり、ほとんどはヴァイキングが使用した海に関する語句であることが確認された。これらの語句はすでに現存しておらず、一般人であるハロルドが今回の人生で知り得たはずもないため、退行催眠によって導き出された過去生の信憑性を証明する強力な証拠となる。

退行催眠で過去生を思い出しながら、今回の人生では知り得ない言語を喋り始める被験者は数多いが、その言葉は世界中の広範囲に広がっており、古代中国語やジャングルで使われる方言までもが含まれているという」

医師で前世療法の施術も行っている加藤直哉によれば、体外離脱体験など、臨死体験で見られた特徴とほぼ同じ報告をするといいます。

また、催眠で胎児期の記憶を引き出している事例もあります。

ジム・タッカーは産科医のデヴィッド・チークによる事例をいくつか紹介していますが、ここでは2つ紹介します。

<第1例>

「妊娠中の母親が女物の衣類を編んでいるのを父親が見て驚いた場面を記憶していた女の子の事例だ。その女の子は、母親が『女の子に決まってるでしょ』と言ったことと、深緑色の格子縞のドレスを着ていたことを覚えていた。母親は、これらの点を事実と認めたが、妊娠してまもなく、そのドレスを人にあげてしまったことも証言した。つまり、その女の子が、そのドレスを後で見たことはありえないということだ」

 

<第2例>

「1960年代初頭にチークが治療した女性が、催眠状態の中で、母親がその女性を妊娠して6か月目に起った出来事を思い出したという事例だ。アルコール依存症だった父親に、殺すぞと脅された母親は、ボタンフックを使って流産しようとした。その試みは不成功に終わったが、その事件について娘に話したことは、娘がその事件を催眠状態で思い出すまで一度もなかったという」

チークは「胎児がテレパシーや透視やある種の聴覚を使うことができるのではないか」と考えており、この考えに対してタッカーも「このような結論は早計のように聞こえるかもしれないが、チークが詳述している一部の事例について、それ以上の説明を考えることは私にもできない」と同意します。

「こうした記憶は、生まれる前にも活発に活動している意識が存在すること、胎児や幼児は私たちが思っているよりも、ずっと多くのことに気がついていることを示しています。胎児や幼児は、非常に多くの情報を認知し、それを理解しているのです」(ブライアン・ワイス)

国際トランスパーソナル学会の初代会長であったスタニスラフ・グロフは、催眠という方法以外に、薬物を投与しトランス状態へと導くことにより、被験者を過去生の記憶にまでさかのぼらせることができるという研究結果を発表しています。

グロフ自身も実験台となって過去生を体験したといい、次のように語っています。

「非日常的な意識状態(催眠状態や薬物を投与された状態)において過去生の体験をした人々を長年観察してきた結果、私はこの魅惑的な分野の正当性を確信するようになった。過去生という現象がきわめて妥当なものであること、過去生の知識が我々の葛藤を解決し、現在の人生をより良いものにすることを確信させてくれる事例を、いくつも紹介できる」

生物学者のライアル・ワトソンは、イギリス人作家で自分の前世を再体験したというジョーン・グラントによる次の事例を紹介しています。

「グラントは、『個々人の肉体は、物質的な構成部分と超物質的な構成部分から成り、この両者間のエネルギー交換が停止すると、物質的な体は死ぬが超物質的な体は死なない』としており、この点ではバイオプラズマの概念にきわめて近い考え方だといえる。ただ、この超物質体は『エネルギー場によって統制されている物理的な粒子がそのエネルギー場の非活性化によって崩壊する、われわれが『死』と呼ぶ過程には従わない物質秩序』で構成されているので、死ぬことはありえないとしている。

彼女によれば、死後生存は、一連の霊魂再生を通じて蓄積された叡知の総和である『総体』と呼ばれるものの掌中に委ねられており、この『総体』が過去のどの超物質体を目覚めさせて新しい受精卵に宿らせるかを決定し、選ばれた特定の超物質体が、卵子に含まれる遺伝的な素材を直接的に組織化して、個々人の性別や技能や由来不明の嗜好の一部をつくり出しているという」

前世療法の研究家であるアレグザンダー・キャノンは1382人の前世療法の結果を踏まえ、次のように語ります。

「何年ものあいだ、輪廻説は私にとって悪夢であり、それに反駁しようとできるかぎりのことをした。トランス状態で語られる光景はたわごとではないかと、被験者たちとの議論さえした。あれから年月を経たが、どの被験者も信じていることがまちまちなのにもかかわらず、次から次へと私に同じような話をするのである。現在までに1000件をはるかにこえる事例を調査してきて、私は輪廻の存在を認めざるを得なかった」

以上、生まれ変わりに関する研究について紹介しました。

モーリス・ネザートン博士は、生まれ変わり仮説を認めざるを得なくなった経緯を告白し、「自然は一千万年かかってグランドキャニオンを創りあげたのに、人間の魂が70年や80年で形成されるとは信じられない」と述べていますが、この直観を裏づける結果が出ているといえるでしょう。