超心理の研究は難しいものですが、その大きな原因はなんといっても研究対象が「人間の心」であるためです。
・気持ちが影響する
透視も念写も精神作用によって生じる現象なので、能力者の気持ちの不良によって失敗することもあります。
福来が研究した能力者の中には、研究中に能力が消失してしまった人もいました。
たとえば、千鶴子について福来は次のように言います。
「千鶴子の透視実験の成功にとって絶対的に必要なる条件は、精神の不安なることこれなり。わずかにても不安の念ある時は、たちまちにして精神統一を害し、したがって透視に困難を生ず」
・信頼関係
福来は能力者を扱う注意点をいくつか挙げていますが、その中で「精神能力を研究する上で最も必要なこと」として、能力者と研究者との信頼関係を挙げ、「研究者が自分勝手の条件を無遠慮に提出して振る舞うのではなく、能力者の気持ちをよくするように取り計らうべきだ」と言います。
初めて会う研究者や、能力者に対して疑いや悪意がある研究者がいると、能力を十分に発揮できないということがあり、福来自身も最初のほうの研究でこれができていなかったため反省しています。福来はこの点について、次のようにたとえます。
「信頼できるものが金を借りに行くと、快く貸してくれる。しかし、信頼できない者が行くと、貸してくれない。それは金がないからではなく、相手が嫌いだからである。透視や念写の実験では、まず能力者から信頼される必要がある」
ちなみに、この点は今日、ヒツジ(超心理信奉者)とヤギ(否定論者)効果として知られています。
・実験は命がけ
たとえば、念写の場合、念写すべきものを一心に念じ、次に精神を統一して一切の雑念を取り払い、そして文字を乾板に押しつけるという流れですが、精神作用が肉体に大きな負担をかけます。時には45度以上の命にかかわるような非常に高い熱が出たり、疲労のために実験後は何日も動けなかったりといった具合です。