登山家の遭難を例に、チャレンジに対する考察をしてきました。
 
 
ではなぜ日本人がチャレンジの失敗に対する評価がこれほどまでも手厳しいのでしょうか?
 
 
今回の平昌オリンピックでも、葛西紀明選手の発言の記事に対するコメントも辛辣なものが目立ちました。
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成功すれば「歴史的偉業」
失敗すれば「自己責任」
「他人に迷惑をかけない」
「失敗するなら最初からすべきではない」
 
このような思考傾向を持つ日本人は多いといわれています。
 
これには日本人の持つ遺伝子の傾向がかかわっているという説があります。
セロトニントランスポーター遺伝子という、セロトニンの量を左右する遺伝子の影響があるというものです。
この遺伝子が生まれつき長い「L型」と短い「S型」とがあって、日本人はS型の割合が諸外国と比べてかなり高いというものです。(80%以上がS型という統計もあります)
この遺伝子が短いとセロトニンを再合成する能力が低くなり、セロトニンの量が少なくなるというものです。
 
セロトニンという神経伝達物質は、安心感の源となっている物質で、不足すると不安を感じやすくなり、鬱の症状が出たりします。
これにより、物事を悲観的にとらえたり、楽観的な見通しの人を責めたりする傾向が出てきます。
見通しの甘い失敗を責めたり、チャレンジを褒めることをしにくいメンタリティにつながります。
 
日本人に悲観的な人、心配性の人が多い科学的根拠とされているところです。
なぜこうなってしまったのかは諸説あるところですが、大昔から天変地異が多く、とりわけプレートの近い島国であることによる地震、火山活動、津波などに度々襲われていることなどによって、より用心深いDNAが生き残ったいう説があります。(楽観的なDNAは淘汰されたということなのでしょうか)
この説は遺伝子の研究が人種別に行われた時に、東アジア人でひとくくりとされずに、中国人や韓国人よりも日本人のS型が多かったということから地理的な理由もあるのではないかと推測されたことから導き出されたものなのではないかと思います。
 
 
 
この傾向は日本人の観客の振る舞いにも関連する要素です。
(このような観客の反応に自分を見失い、動揺してしまうとイップスになってしまうこともありますので注意が必要です。)
 
 
セロトニンは、未来に対して前向きに考えてチャレンジをしていくメンタリティには絶対に不可欠な物質です。
ここをどうやってリカバリーしていくかが課題なのですが…これについてはまた次回以降に考察しようと思います。