前回のつづき

 

さて、予備知識として登山というものはどれほどのリスクに対してのチャレンジングな試みなのかというところから考察してみたいと思います。

 

一般的な統計によると、7000メートル以上の登山の死亡確率は4.3%。

今回の場合のナンガパルバットは、

危険な山ランキングの、

 「第2位」になっていました。

{D68DDAFA-4078-4F2B-BA86-232BB2CD00FE}
 
これはどれほどのものなのかという評価は難しいのですが、もう一つの側面についても考えてみないといけないことがわかりました。
 
それは、たとえば、
 
日本の谷川岳での死者数です。
{1AA87A7A-F063-4B95-B119-85710C3D302D}
 
{00C32124-24E7-412F-8319-8A2C70D18F0E}
これは、明らかに「チャレンジの難しさ」ではなく、ただの「準備不足」です。もし批判されるべき登山者がいるとすればこのような準備不足の登山者です。
 
ナンガパルバットへのアタックは谷川岳とはだいぶ異なる事例であり、成功していれば「歴史的偉業」として讃えられるほどのチャレンジです。プロ中のプロが万全の準備の中でチャレンジする登山であることがわかります。それでも失敗する事はある。
 
それは、救出隊がどのように組まれたかの経緯を知ればなおさらわかる事です。
 
 

【救助活動には高峰の雪山で捜索を行うためベテラン登山家4人が参加。4人は世界第2位の高峰K2(ケーツー、標高8611メートル)のベースキャンプからナンガパルバットまでパキスタン軍機で移送されていた。

 パキスタン山岳会(Alpine Club of Pakistan)の広報担当、カラル・ハイデリ(Karar Haideri)氏は28日、「K2の冬季登頂という歴史的偉業を中止して1人の命を救った登山家たちがまもなくエリザベート・レボルさんとともに下山する」との声明を発表した。(c)AFP】

とあります。
つまり救出隊はK2の冬季登頂を準備していたベテラン登山家たちだったのです。
 
その彼らが冬季登頂をしようとしていたのが、
死亡確率「第3位」の K2です。
{5AB57CFA-0C9B-46F7-A624-B873704D8112}

 

コレもなんとまあ危険な山です⛰
 
つまり『チャレンジャー仲間』なのです。
もし、レボルさんが再チャレンジするときには間違いなく賞賛し応援してくれる人たちなのです。
一般的にも欧米ではこのようなチャレンジをするというメンタリティを賞賛しリスペクトする傾向があります。
  それについてはまた次回。
 
 
※おまけ
 
ちなみに死亡確率第1位は、
 
 
「アンナプルナ」
 
{8252BA26-EBB0-4C28-A99A-E3DD7846EA15}

 
 
{100AED72-3126-4544-9CDC-A19759C80383}
 
{CF12B918-1B9A-4451-BCA1-12B52197283B}
相当な決意を持って臨むアタックであることがわかります。挑戦者魂をかきたてる何かがあるのでしょう。
 

最高峰の「エベレスト」はというとランク外でした。
 
 
{957DA08B-2504-4516-8330-2C4E9F1AE458}

 

挑戦者の分母が大きいので、死亡者は多いのですが、死亡確率は低いです。カラフルな衣装の登山者たちの大量な遺体が転がっている場所は「虹の谷」と呼ばれているそうです。
 
難しい山は準備が整った選ばれた挑戦者しか挑んでいないのです。登山家は決して無謀なチャレンジをしているのではないのですね。