2007.12.21
MRI TODAY
「セカンドライフ」の本当の意義
経営コンサルティング本部 主席研究員
佐野紳也

リンデンラボ社の提供する「セカンドライフ」が昨年来、世間の耳目を集めている。「セカンドライフ」は、「メタバース(ニール・スティーヴンスンのSF小説「スノウ・クラッシュ」を語源とする、三次元仮想空間を示す言葉)」の一種である。「セカンドライフ」は、7月には日本語版も公開されたことから、実際に店舗やオフィスを構える日本企業も増加してきた。ところが最近では、「セカンドライフ」のユーザ数が予想された水準に達していないことから、一過性の現象と捉える論調も現れ始めている。

ここでは、「セカンドライフ」の将来性とメタバースの将来性を同一視すべきでないことを指摘しておきたい。「セカンドライフ」では実現できてはいないが、次に示す理由でメタバースは安全安心なネット社会を構築できる可能性があるからである。

第一にメタバースは環境統制(参加者の実行可能な行為の統制)により犯罪行為を起きにくくすることが可能である。現在のWebでは、なりすまし、コンテンツの違法複製など様々な犯罪行為が横行している。言わば「無法地帯」である。一方、現在の「セカンドライフ」では実現されてはいないものの、今後開発されるメタバースでは「なりすまし、コンテンツの違法複製等の犯罪行為が起きにくい仮想社会」を構築することが可能である。たとえば、メタバースにメンバー登録する段階や利用する段階で、厳密な個人認証を行うことで、なりすましを防ぐことが可能である。また、「セカンドライフ」でも提供されているように、コンテンツの複製を制御する機能により、違法複製をできないようにすることも可能である。

第二にメタバースではメタファー(暗喩)により安心した操作が可能である。Webでは操作はアイコンをクリックすることで行われる。アイコンの中には、クリックでどのような結果となるのか、説明文を読まないとわからないものがある一方、どのような結果が生じるのか確実にわかるアイコンもある。例えば、ショッピングカートのアイコンの意味は誰にでもわかる。これは、ショッピングカートのアイコンが現実のショッピングカートのメタファーであるためである。メタバースでは三次元で現実社会をメタファーするため、誰でも安心して間違いなく操作が行えるようになるだろう。例えば、メタバースでは三次元での現物に類似して表現された「商品」で売買が行われるため、商品を間違えて発注することは非常に少なくなるだろう。

このようにメタバースは「環境統制」と「メタファー」機能により、安全安心なネット社会を提供することが可能であり、Webを補完/代替するインフラとなりうると考えられる。

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