すぐにあの時の刑事さんと編集者さんから私の心情を心配する電話がありました。

インターネット上では既に私の名前と小説のタイトルが挙がり始め、ワイドショーや週刊誌に行き着くのも遅くはないという話でした。

実際に午後のワイドショーではあくまで【?】の付いた言い回しでしたが、インターネット上で話題になっていると話していました。


同じ時間ぐらいにインターホンが響きました。

担当者さんが開けるまえに必ずドアスコープで誰が来たか確認するよう朝の電話で言われたので、まさかと思いつつ覗いてみると、取材記者風の男が、魚眼で丸みを帯びた顔を見せてきました。

私は芸能人じゃないし、そりゃ高校一年で小説家デビューしたときは、もてはやされてテレビに出たこともありましたが、上京して今の部屋に引っ越してからはただの小説家なのに、なぜ私の部屋がこんなにも早く特定されたのかまったくの疑問でした。

夕方になると窓の向こうにテレビ局の車が見えるようになりました。


編集者さんから再度電話が入りました。家の前まで来ているが入るに入れない状態ということでした。

幸い部屋に中に私がいることは誰にも気付かれていなく、執筆で部屋にこもりきりになることが多いのでカップメンやレトルトの食品などはじゅうぶんあるので、このまま編集者さんも部屋にいれず、居留守を決め込むことにしました。