7月から一棟物を扱う不動産業者と面談を重ねる中で、これまで見えていなかった業界の「景色」が少しずつ解像度を上げて見えてくるようになりました。

特に複数の業者から強く提案されたのが、「築古木造アパートを活用した節税スキーム」です。

提案された内容をシンプルに整理すると、以下のような仕組みです。

耐用年数超えによる短期償却:法定耐用年数(22年)を過ぎた中古木造アパートを取得し、わずか4年で一気に減価償却費を計上する。

損益通算による税金の圧縮:現金の支出を伴わない多額の減価償却費で帳簿上は大幅な赤字を作り、それを本業の給与所得と相殺(損益通算)して所得税の還付や住民税の軽減を受ける。

税率差を利用した出口戦略:4年の償却が終わって税負担が増える(デッドクロス)直前、保有5年超のタイミングで売却。給与所得にかかる最高税率(最大55%)に対し、売却時の長期譲渡所得税率は約20%と低いため、この「税率差」で手残りを残す。

中には「4年後の出口で譲渡益が出ない価格での買い取り」までセットで確約してくる業者もあり、仕組みとしては非常によく考えられていると感じます。

しかし、私の投資目的は節税ではなく、あくまで純資産の拡大とキャッシュフローの構築です。節税ありきで意図的に赤字を作りに行く手法は、自分が目指す方向性とは根本的に異なります。

とはいえ、昨今のローン金利の上昇局面に加え、厳しい市場環境の中で「最初から十分な手残りが残る好物件」に出会うのが極めて難しくなっているのも紛れもない事実です。

安易な節税スキームに流されることなく、己の軸をブレさせずに理想の物件を探し続けることができるか。投資家としての姿勢が試されている気がします。