新しい運命が動き出した
そんな気がして来る
お膳立てがされてた様な流れの父との別れ
妹が珍しく朝から父の様子を見に来てた
色々な人の人生が交差する中で
確実に父の最期の時は近づいていた
私は父の最期など想像もしてなかった
勿論今考えると確実な流れではあったけど
最期の時が近づいてると思う程衰弱はしていなかった
ただ時間を追う程に様子は変化して
最後は妹と二人で必死に父を呼び戻す叫び声をあげていた
この世の中がたった三人で作られてるような
ここが全てって感じたほどに不思議な空間が出来上がってた
父の体の隅々まで知り尽くしたような三か月
その体が少しずつ閉じられて行くさまを見せつけられた
見せたことのない父の涙を私は何度も拭った
そんなことをしたこと無い父が
胸を施術し続ける私を腕で抱き寄せた
最初は「もういい触るな」って合図かと思ったけど
たぶんありがとうなんだと思った
昼夜逆転してしまったような父の様子に
プロたちの感想は「NG」で
過保護介護と思われていたらしい(^^;)
もちろん妹もそう思ってたみたいで
昨日朝に直接そう言われた
ただ私は私の判断を大事にした
93才まで生き抜いてきた父が
今何をしたら一番幸せなのかを模索しながらやって来た
今更嫌なことをさせることだけは避けた
ただそれだけ
そのありがとうが腕にこもったんだと私は理解してる
過保護に出来て良かったって心から思う
後悔はない
過保護介護の証明なのか
昨日の夜から
私の仕事の全てが
もうやらなくていいことになっていた
こんな音色が今はいい
しきたりや慣習も取りあえず排除して
私の感じるままに父を送る
色々な人の対応を
全て父に向けられた愛と受け止める
優しさに触れて
何度も涙があふれた
私の新しい人生の
ドラマチックな物語が
今まさに始まった気がする

