「鬼塚パンチ!」の連載3回目です。
親友、池Pの話です。
爆笑度高い。でもちょっと食事中のかたは遠慮した方がいいかも。
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http://ameblo.jp/onitsukapunch/entry-11782177144.html
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平原先生が我が家にやってきた数日後、サッカー部のMFである池Pがぼくのクラスにやってきて、おもむろに、のしっと机に尻をのっけた。
「実はだな、俺も声を掛けられて迷ってるんだ」
すぐにぴんときた。池Pにも平原先生から勧誘があったんだ。実力からして当然のことだ。
池Pとは、小学校の頃から一緒にサッカーをしている。お互いの家に泊まりあったり、練習の後は一緒に飯を食ったりと、もう兄弟みたいな仲。合宿なども常に一緒だったから、高校は離ればなれになるなんて、ちょっと想像もつかなかった。
彼の魅力はなんといってもドリブルだ。足が速い上に、ボールコントロールが半端ない。まさに足先にボールがくっついているようなのだ。
なぜ、そんなにもうまいのかも、ぼくは知っている。池Pのうちでは犬を飼っていて、小さい頃から犬を相手にドリブルの練習をしてきたからだ。犬の名前は、力道山。池P家では、犬は代々力道山という名前で、もう四代目だか五代目だかになるらしい。初代を名づけた池Pのオヤジのセンスに驚くが、名は体を表すとは良く言ったもので、代々の力道山は、みんなこぞってたくましい犬だったそうだ。
つまり、ボールを取られてしまうと、傷だらけにされるのはまぬがれない。運が悪いと、あっという間にかじられてペシャンコだ。そんな凶暴なペットを相手に猛練習を積んだおかげで、今の池Pのドリブルはある。
池Pは、背が低いという弱点をカバーするかのように、スピードとテクニックで勝負する。特に、中盤でドリブルをして相手を引っかきまわし、すきを見つけては自分で持ち込むということを得意としていた。清水中サッカー部には、なくてはならない存在だ。
ただし、欠点もある。自分の腕前を信じすぎて、滅多なことではパスを出さないこと。とにかく中盤でドリブルしまくって、自分をアピールするのだ。もちろん、これが絶対に悪いとは言わない。相手のディフェンスが複数人数で対応しなくてはならないから、そうなると周囲に結構なスペースができる。
それでもやっぱり、過剰なドリブルはむかつく。ぼくはいつも前線に張っていたから、中盤の池Pからパスを貰わないと話にならない。パスがなければ、ぼくにはシュートのチャンスが巡ってこないのだ。池Pの活躍を認めつつ、こっちにもちゃんとパスを回してもらう。池Pとはそういう宿命の仲だった。
ちなみに、池Pとはもちろんあだ名である。本名は池田豊。
このあだ名がついたのは、実はそんなに昔のことじゃない。
中学に上がり、当然のように一緒にサッカー部に入ってしばらく経った頃のことだ。練習のことを熱く語り合いながら帰ってきて、その日は池ちゃんもぼくの家で晩ご飯を食べてってよ、ということになった。で、わいわい食べて、お腹いっぱいになって、所さんの番組だったかを見ているときに、突然、池ちゃんがうんうん唸り出したんだ。
「腹痛ぇ!」
そのままトイレに駆け込み……あとは、「P」という音から想像できると思う。ズボンまで汚してしまって、そりゃもう大騒ぎだった。
問題は、その日の夕食がオヤジの作った「ジャマイカンカレー」だったということだ。
「お前んち、腐った材料を使ってっだろ」
というのが池Pの言い分。しかし我が家の名誉にかけて言うが、そんなわけはない。実際その日、ぼくもオヤジも母ちゃんも妹もお腹を下さなかった。
「食べ慣れないのに、香辛料たっぷりの辛いものをがっついたからだ」
というぼくの言い分だ。
この水掛け論が結構長く続いて、その間、ぼくがおもしろがって「ピーピー池P」などと呼んでいた。そのうちにクラスにもサッカー部にも、「池P」が広まり、気がついたら皆そう呼んでいたという具合だ。
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今日はここまで。
