子供のとき、よその家で食べた、カシューナッツが好きだった。
でも、母は、買ってくれなかった。カシューナッツは、高いから。
落花生のピーナッツとかは、買ってくれた。
でも、大人になって、カシューナッツを食べても、あまり味がしなく、美味しくなかった。
たぶん、子供のときと、味覚が変わったんだと、思う。
好きなものと言えば、きな粉餅が、好きだった。
家では、正月に餅米を炊いて、餅つき機でお餅を作った。
母は、料理が上手だった。
子供のとき、欲しくても手に入らないものが、多かったけど、母の手料理は、美味しかった。
でも、ちょっと裕福な友達の家に遊びに行ったとき、変形可能なロボットのおもちゃを見たとき
は、うらやましかった。あまりにも、うらやましくて、僕は、遠くから眺めているだけで、
そのロボットには、さわらなかった。
その裕福な男の子の家には、一度だけ、行った。
さほど、親しい友達では、なかった。
実際、なぜ、その子の家に行ったのか、覚えていない。
他にも数人の子が、居た。何かで、呼ばれたのかも、知れない。
僕は、欲しいものの大部分が、手に入らない家庭で、育った。
膝の抜けたズボンを部屋着に、着ていた。
僕は、貧しいと言うことが、どう言うことか、知っている。
そして、それで良かった、と思っている。
鬼武彦 拝
米を炊いた、鍋の底をさらうのが、好きだった。
欲しいものの手に入らなかった、僕は、食べ物とか、粗末にする人の気持ちが、わからない。
ポーランド人とか、平気で、食べ物を捨てる。
あるいは、食べ物を捨てるって、文化程度の低さかも、知れない。
君の家では、食べ物を簡単に、捨てますか?