I Promise You


リトグリは3/20にリリースされる新アルバム「Unlock!」の収録曲のうち「I Promise You」を先行配信した。ガオラーの意見を取り入れて作り上げたラブソングだ。曲作りの過程からSNSで公開されていたので配信に先立ってサビのリードボーカルだけは聴くことができた。正直に言うと素直なメロディだけにコード進行含め若干"あるある感"の楽曲だというのが第一印象。「ギュッと」の時に感じた「リトグリならもっとすごいのあるだろ?」という感想と似たものがあった。

しかし聴くほどに良いフィーリングに変わるのがリトグリだ。R&BやKPOPなどの音楽を聴き慣れている方には少し物足りないかもしれないが、ここは素直になってこの切ないラブソングに浸るのもいい。


さて、この曲のコード進行だがいわゆるカノン進行を多用している。おそらくこれが"あるある感"の正体だろう。カノン進行とは、わかりやすくハ長調(キーがC)で言うとC-G-Am-Em-F-C-F-Gの進行らしい(この曲のキーはD♭なので実際はD♭-A♭……となる)。

「I Promise You」のサビはまさにこの進行。さらにAメロもこの応用形で、ベースラインがドシラソファミレ(ソ)と下ってくるタイプだ(この曲のキーはD♭なので実際の音階はレ♭から下ってくる)。リトグリのオリジナル曲においてもカノン進行やその応用形を使っている曲は非常に多い。いやリトグリに限らずJPOP界では非常に多い。このことは別のテーマとしていつかブログで取り上げてみたい。(おい、いつになるんだ?)

では「I Promise You」の感想を構成のブロックごとに。(いつも言ってますがブロックの分け方は勝手にやってます。公式とは違う場合があり)


3分35秒の切ないスロー〜ミドルテンポ曲。

キーはD♭。後半に1回だけ転調が入る。


◾️イントロ (ピアノとコーラス)

このコーラスではキーであるD♭のコードの響きがギターのアルペジオによってずっと維持されているように聴こえる。コーラス和音が変化しているのにアルペジオは一定。これが効果的だ。一般的にベースの音を変化させずにコードだけを変えていく手法はよくあるが、これに似た効果がある。とてもキレイで不思議な感じだ。メンバーのコーラスは途中で誰か(miyou?)が♪ハアアと上っていくところの音の飛び方がすごくて微妙な濁りに聴こえるのがオシャレ。


◾️1Aメロ  MAYUとミカのリード

正直、MAYUの出だしは不安定だが初めの文節の終わりの♪ぼく「はー」でグッと安定に持っていく。♪ふわふわ あたりになるともはやMAYUワールド。聴く人を一気に引きつける。

ミカは非常に安定。この人の声は7色。♪きみが の声が裏返るところは一瞬アサヒかと思った。♪いい のビブラートが良い。


◾️1Bメロ  かれんとmiyouのリード

かれんは前半に少し声を絞り、後半♪頼りない…から少し声を張っている。次のサビにつなげるための表情付けだろうか。

miyouはサビ前で盛り上げをこらえて抑えているが、所々に感情があふれるのを敢えて止めていない。♪まもりた「い」で声を裏返しているところ、

♪もう「だ」れにもまけ「は」しない  に力がこもる。

グッとくる。


◾️1サビ アサヒと結海のリード 締めはMAYU

切ない系はアサヒの真骨頂。想像するに本人もこの曲は大好きなはずだ。歌詞を噛みしめながら切なそうな表情で丁寧に丁寧に歌う声はアサラーさんにとってはキュンキュンが止まらないはずだ。

結海が素晴らしい。♪ただそれだけで〜 はミックスボイスか。音量を落とすことなくサビを美しく盛り上げてくれている。♪特別「に」なる〜の「に」の瞬間ファルセットは独特な表現。

いやあ、MAYUの締めが何とも心地よい。サビの後の癒し。ハスキーの中でも、息が聞こえた0.0x秒後にわずかに遅れて声が出てくるタイプで、これが実に味がある。まるでフルートのようなその音色にほっこりするのだ。文節の最後の伸ばす音はピッチが正確で本当に心地よい。特にラストの♪こ「とー」。

声を張らずに鼻歌のように軽く歌うMAYUは無敵かもしれない。MAYUラーさんはこのラストのフレーズできっと昇天しているだろう笑


◾️2番は省略。

しかし、2番の中でどうしても触れたいパートがある。

2サビ後半のアサヒだ。

♪不器用で「ねえ」うまく… の「ねえ」!

アサヒ史上最高の"抜き"かもしれない。「ねえ」という普通ならスルーされる歌詞に注目し、そこに感情を乗せたのはいかにもアサヒらしい。ここはイヤフォンでよーく聴いて欲しい。抜いて艶やかな息にグッときて不覚にも涙が出そうになる。それくらい感動の「ねえ」だ。全アサラーさん昇天必至だ笑。


◾️間奏 全 コーラス

♪You're my love… 来た。この曲のクライマックスだ。これがリトグリの差異化ポイントであるコーラスのハーモニー。♪You're my love…の繰り返し2回目の途中から結海の♪la la la …I Promise You♪のコーラスが入る。雑味のない澄んだキレイな、それでいてしっかりと芯のある高音だ。この♪You〜 の最高音ファルセットはHiHi-A(HiHiというオクターブのラ)。いつもの高音担当かれん先生なでなく結海が出しているのが嬉しい。

ちなみに「Seasons of Love」の終盤のmanakaのファルセット高音はHiHi-C、さらに「Girls be Free」のラスサビ前のMAYUのファルセット高音はHiHi-C♯と記憶している。結海のこのファルセットはこの2人より

2音ほど下とはいえ相当に高く、直前の音階から4度飛んでHiHi Aを出すのは簡単ではない。しかも転調も同時にこなしているのだ。

結海の♪I Promise   の箇所は通常(転調しないとしたら)ファ ソ♭ファ「ミ♭」となるところをファソ♭ファ「ミ」という変態的な音(通常のミ♭の半音上)を挟んで高音HiHi A(ラ)の♪You〜まで飛ぶ。この「ミラ」で転調を完成させている。聴く方はミで「おや?」と感じ、ラで完全に転調したことを感じることができる。

この難しい展開をキレイな声で歌い切る結海は素敵だし、この展開について行くバックコーラス隊も素敵すぎる。 

半音上げの転調は世の中にあふれるほどあるが、フレーズの最後の(コードで言うとキー音に戻る前の5度の)箇所で半音上げを仕掛けるこのパターンは相当に効果的でドラマティックな転調となっている。個人的に大好きな転調の仕方だ。


◾️ラスサビ ミカとかれんのリード 締めアサヒ

転調を受けてのミカのリード。半音上がってミカの良さをさらに引き出してくれる音域になっている。

切なさとパワフルの中間くらいの声の張り方。もどかしい歌詞だからか。ミカはうまいねえ。感心する。

一方かれんのリードはラストの盛り上げを意識したパワフルなまっすぐな歌い方だ。完っっっ璧なピッチ!このストレートボイスの力強い凜とした歌声はさすが我らがかれん。誰もかなわない。

そして締めのアサヒがまた優しいx100。♪ひとみ閉じ「て」 はあまりにも優しすぎる。実を言うとここは一瞬ミカとも思ったのだが♪約束し「よう」の声の裏返りでアサヒとわかった次第だ。丁寧さにさらに磨きをかけたこのパートは素敵なラブソングのendingにふさわしい。


うーむ、聴き終わるとやはり良い曲だ。

清涼感があり初期のリトグリを彷彿とさせる。

青春真っ只中の世代にはキュン度があってウケが良いかもしれない。が…、もういい歳のオヂサンでもキュンは感じていいだろ?(引く)

タイアップやテレビ出演に期待したい。