でも相手はそんなこと知らないから普段のように弄ってくる。
だから忠告のつもりで言っただけ。
「今日は機嫌悪いから、もしかしたらあなたとケンカになるかも。まぁそれも八つ当たりかもしれないけど」って。
そしたら強い口調で言い返された。
「僕そういうの嫌い!知り合いにもそういう人いるけど、僕はそんな人の機嫌なんて取らない」
「思い出しムカつき?」と言い返した。(元カノの事でしょ?)
中1の時に、それまで不機嫌を平気で出していたら同級生に「周りの人も嫌な気持ちになるからやめろ」と注意された、悔しかった、と話してくれた。
…違うんだよね。そもそもなぜ私が「機嫌悪い」「ケンカになるかも」って言ったのか。
今夜会ってからそれまでの時間、弄る言葉がどんどん来たからなんだよね。で、今夜はいつものように笑って流すのはムリかも…そういう心の状態かも…って。それを『機嫌悪い』って表現しただけ。
だって、『あなたは普段意地悪なことを平気で言って、私は本当は結構傷つきながらもそれを我慢できてるけど、今夜は心配事がいくつも重なって余裕がないんです。今はこれ以上傷つきたくないから、双方の関係性を越えた言動は控えてください』なんて言ったらそれだけで不愉快にさせてしまうから、『機嫌悪い』っていう、自分の側に問題があるから、という表現にしたんだけど。
私のクーラーボックスが壊れた時に、ごめんなさい!と焦るあなたに「壊れかけてた」って言ったのもそれ。楽しい時間を共有するためには本当のことなんて言わなくていいんじゃないだろうか。
釣りの間はいつもどおり親切にしてくれた。
でも、寒いね、寒くないよ、の会話から、僕が温かいのかな?と差し出された手を、切り替えの遅い私は自分から握ることもせず、同じように手を差し出した。
その人は私の指先を一瞬握って、冷たい!って言ってすぐに離した。
そこで初めて、友達でも恋愛でも仕事絡みの関係でもなく、宙に浮いた感じの距離感と違和感に気がついた。
お互いの言葉が感情的になった時点でそれまでの心地よさが消えていく。
必然性のない時間を共有する頻度が上がるのって、あまり良くないのかもしれないね。
魚の生命反応も確認できず、いつもより少しトーンの下がった釣りの帰り道。その人の仕事の話。
寒い車内で1時間半。悩み事を整理する目的だったかどうか…???
人は皆違う生き物。
こちらがどれだけ誠実に与えたいと思っても、受け取る気のない人にとったら迷惑でしかない。人間関係も恋愛も子育ても、然り。