『三匹の子豚』





少しだけ昔 




ある所に

三つ子で三姉妹の

三匹の子豚が


生まれました





それはそれは


外見も中身も


そっくりな三匹でしたが

思春期に入った頃から

だんだんと中身が


変わっていきました





長女の豚美は

自分の見た目に


コンプレックスを持ち

出来るだけ


目立たないように

過ごすようになり


だんだんと


おとなしく暗い性格に


なっていきました





次女の豚絵は

自分の見た目の


コンプレックスで

笑いを取るようになり


だんだんと


目立ちたがりの

明るい性格に


なっていきました





三女の豚子は

自分の見た目を


気にも留めず

見た目が変わってる子を


いじめ


だんだんと


いじめっ子の

悪い性格に


なっていきました






高校までは


同じ学校に行っていた

三匹でしたが

高校を卒業したあとは

バラバラの道に


進みました


その頃には


三匹の子豚は

三つ子だとは


分からない程に

見た目も中身も


バラバラになっていました





長女の豚美は

介護の専門学校に進み

資格を取り


老人ホームの


介護の仕事に





次女の豚絵は

ファッションの


専門学校に進み

2年間のフリーター生活


を経て


雑貨屋へ就職





三女の豚子は

高3の夏休みに


家出をしたまま

学校をやめ


ダンサー


ショップ店員を経て




彼氏の務める


何の仕事をしてるのか


よく分からない会社の


事務員に










見た目も中身も

そして家も仕事も生活も

バラバラになった三匹は

次第に会う事も無くなり

連絡もしなくなって


いきました





そして

三匹の25回目の


誕生日の前日

豚美と豚絵の携帯に

7年ぶりに豚子からの


メールが来ました




「久し振り。

元気にしてた?

25歳の誕生日を


一緒にお祝いしない?

ちょっと相談したい事もあるし。」





突然のメールに

少し戸惑った


二匹でしたが


久し振りに


三匹で会えるし

何だか心配にも


なったんで

結局二匹とも


行くことにしました





しかし

誕生日当日

豚子の予約した


店に行くと

豚子の姿は


ありませんでした





どうしたんだろうと


思いながら

しょうがなく豚美と豚絵で

ご飯を食べていると


突然


「豚美さんと豚絵さん


ですよね?」

と声を掛けられた





二匹が料理から目を離し

声のする方向を


見上げると

ガリガリに痩せて

飢えた目つきをした

狼が立っていました







つづく