86章、有言の帰国 | アヴァベル×ラノベ

アヴァベル×ラノベ

アヴァベルをラノベにしてみました(`・ω・´)
といっても完全に2次創作に近い感じになってますが(´・ω・`)
念のために言っておきますが、非公式です。

アツミは目を紫色に光らせ、高速移動で火球を交わした。

「止めてください!私が何をしたって言うんですか?!」

「覚えてないんですか…?!」

コウガは左手に風の刃を纏わせ、アツミに迫っていった。

「俺がまだ小さかった頃…!」

コウガは風の刃をアツミに向けて突き出した。アツミは体を反らして交わし、その手首をつかんだ。

「殴る蹴るは日常茶飯事…!」

コウガは左手の風の刃を竜巻に変化させた。アツミは数メートル吹き飛ばされた。

「刃物で切りつけられたり…!」

コウガは右手に雷を纏わせ、アツミに向けて電気エネルギーを連射した。アツミは目を黄緑色に光らせ、重力を操作し、砂の壁で電気エネルギーを防いだ。

「ハンマーで殴られたり…!」

コウガは頭上に巨大な火球を出現させ、アツミに向けて発射した。砂の壁ごとアツミを吹き飛ばした。アツミは生えていたヤシの木に背中から激突した。

「数えきれない罵詈雑言を俺に浴びせた!!」

コウガは氷弾を出現させながらアツミに近づいていった。
アツミはよろめきながら立ち上がった。

「私は…私はそんなこと1回もしてません…!」

「まだ言い逃れをするんですか…!」

コウガは自身を氷零状態へと変身させ、体の前に巨大な氷柱を複数発生させた。
コウガは一斉に氷柱をアツミに向けて放った。先程の一撃でかなりのダメージを受けたアツミは動くことができなかった。

「コウガ!!」

蛮狼状態のカナエが、鷹の翼を展開させ、猛スピードで飛行し、アツミを救出した。氷柱はヤシの木を破壊した。

「何をするんだ、カナエちゃん!」

「ソレハコッチノ台詞ヨ!」

カナエはアツミをそっと地面に下ろした。同時に蛮狼状態を解いた。

「何を考えているの?!アツミさんに攻撃するなんて…!」

カナエはコウガに詰め寄った。コウガは毅然とした態度であった。

「そこを退くんだ、カナエちゃん」

コウガはカナエの肩に手をかけた。カナエはその手を叩くように払った。

「いいえ、退かないわ」

「仕方ない…!なら力ずくで…!」

コウガはカナエを強引に押し退けようとした。カナエはコウガの頬に強烈なビンタを食らわせた。

「このバカ!!」

コウガは叩かれた箇所を指でなぞった。

「あんた言ったわよね?『アツミさんを殺させるわけにはいかないって』。そのあんたが何でアツミさんを殺そうとしてるの?!」

「…カナエちゃんにはわからないよ。俺のこの気持ち…」

コウガは氷零状態を解いた。それと同時に、2人に近づいてくる人物がいた。

「コウガ殿、いい加減にしなさい」

ユキミチが厳しい口調で言った。

「ユキミチまで来ちゃったか…」

コウガはため息をついた。

「コウガ殿、冷静になって考えて下され。もし当時のアツミ殿がコウガ殿に対して虐待を行っていたとしたら、血眼になってまで探し続けると思いますか?」

「それは…。だけど…!」

コウガはアツミを睨み付けた。それを見かねたアツミはコウガに近づいていった。

「あなたに見てもらいたいものがあります」

アツミは首から下げてあるペンダントを取り出し、カバーを開けてコウガに見せた。

「覚えていないかもしれませんが、小さい頃の私とあなたの写真です」

写真の中の2人の子供は肩を寄せあって、満面の笑みを浮かべていた。

「あなたはグランゼールの手によって記憶が書き換えられています。今すぐに信じろとは言えませんが…」

「俺が…記憶を…」

コウガはペンダントとアツミの顔を見比べた。













「ったく、もう終わりかよ」

リグルは舌打ちをした。

「あの魔法使いはなぜアツミさんをいきなり襲うような真似をしたんです?」

エスナはいまいち状況が飲み込めておらず、困惑していた。

「こいつを読んでみろ」

リグルはグランゼールに手渡された本をリグルに手渡した。

「理由がわかるぜ?」

「…後程読ませていただきますかねぇ…」

エスナはゆっくりとその場から立ち去った。













マツリとカグラはサキを連れて、昨日の夜に訪れた喫茶店を訪れていた。カウンター席に座ってコーヒーを飲んで談笑していた。カグラは相変わらず砂糖を大量に投入していた。

「じゃあ本当にオゼロ城の王子様とお姫様なんですね」

店員のお姉さんが心地よい声で驚きの声をあげていた。

「はい。そうです」

マツリはコーヒーを一口飲んだ。

「すごいな~。まさか本物に出会えるなんて」

お姉さんは憧れの視線を2人に向けた。
サキは

「私だって最初は信じられませんでした。凄く似た人程度にしか思ってませんでした」

サキはミルクティーをストローで飲んだ。

「やっぱりそうなりますよね~…。あっ、サインとかお願いできますか?」

「すいません、そういうのはちょっと…」

マツリは愛想笑いを浮かべ、やんわりと拒否した。

「そうですよね~…」

お姉さんはしょんぼりとした雰囲気で、紙とペンをしまった。
それと同時に、正面玄関から誰かが入店してきた。

「あら、お帰り」

お姉さんが優しく声をかけたのは、昨日、バルバロス邸にて失態を犯してしまったブーカであった。
ブーカはマツリとカグラの、サキの姿を確認すると、おどおどしながら頭を下げた。

「昨晩はどうも、ごちそうさまでした」

マツリ、カグラ、サキもそれに応えるように、お辞儀をした。
ブーカはそそくさとカウンターの奥に隠れてしまった。それを見かねたサキはお姉さんに話しかけた。

「弟さんですか?」

「はい。私と12歳違いの弟です」

「12歳も離れてるんですか?!」

サキはその言葉に驚きを隠せなかった。それはマツリやカグラも同じであった。

「べノンではよくあることなんですよ?私の幼馴染みなんか、一番上の兄と17歳離れてます」

お姉さんは穏やかな口調であった。
マツリとサキが重ねて驚いているなか、カグラはため息をついていた。

「(17歳…間にリンさんが丁度入るのか…)」

カグラは少しだけ残っていたコーヒー(多量の砂糖とクリーム投入済)を飲み干した。
そして、空になったカップを置き、おもむろに立ち上がった。

「どこ行くの?」

マツリはカグラを呼び止めた。カグラは振り向くことなく答えた。

「…トイレ」

「わかった。行ってらっしゃい」

カグラは店の奥にある、カウンターやテーブル席からは見えないトイレに向かった。
トイレのドアノブに手をかけたとき、カグラはどことなく視線を感じた。

「(今のは…?)」

カグラは辺りを見渡した。近くにはカグラ以外誰もいなかった。

「(気のせい…か…。いや…違う…!!)」

近くの小窓から、カグラは覗いていた人物を確認できた。
小道を跨いで、エスナがどこか悲しそうな表情で店を見つめていたのである。

「…何でエスナがここに…?!」

エスナは視線を反らし、その場から立ち去ろうとした。カグラは小窓を開け、体をねじ込ませるようにして外へ出た。そして足音を消してエスナの尾行を開始した。













コウガはカナエたちに連れられ、宿屋の部屋に戻ってきていた。
コウガは落ち着きを取り戻しているようで、一同の警戒心は薄れつつあった。

「…俺がアツミさんを憎む記憶を植え付けられて、しかも解除する方法のリスクが大きすぎる。このままだとあなたを受け入れられることが出来ません…」

柱に寄りかかって座っているコウガは複雑な表情で、目の前に座っているアツミを見つめた。
アツミは何も言い出すことが出来ず、視線を反らした。
それを見かねたソウマは、助言をした。

「その事実がわかっただけでも十分じゃないのか」

それにユキミチも続いた。

「そうでございます。これからコウガ殿は記憶を書き換えられていることを常に念頭に置いてくだされ。あの写真から判断するに、仲睦まじい御姉弟だったのでございましょう」

「…わかった。信じてみるよ。さっきみたいに暴走したら、止めてくれるかい?」

コウガは視線を巡らせ、囲んでいる一同を見た。
カナエはコウガの手を握って、強い眼差しで見つめた。

「当然よ。私はあんたの何なの?」

「相棒…だったね。…今も変わらず」

「…今度暴走しても、私が絶対に止めるから」

カナエの目には力が籠っていた。

「(まいったな…まさかこんな台詞、言われる日が来るとはね…)」

コウガは内心、苦笑いを浮かべていた。
2人が妙に長い時間見つめあったままなので、その空気に耐えかねたリンが割って入った。

「おいおい、お前らどうしたんだ?らしくねぇぞ?」

リンに突っ込まれ、2人はようやく手を離した。そして形だけの弁明をして、笑って誤魔化した。
その光景を見て、アツミは確信した。

「(やはり…この2人は…)」













エスナを尾行しているカグラがたどり着いたのは、町外れにある墓地だった。

「(エスナはなぜこんなところに…)」

カグラは大きめの墓石の影にに身を潜め、エスナの行動を観察した。
エスナは一際小さい墓石の前で止まった。そして静かに手を合わせた。

「(墓参り…?一体誰の…)」

エスナは合掌を止めると、明後日の方向に向けて言った。

「…私が尾行に気づいてないとでも思っているのですか?ねぇ、カグラお姫様」

「(バレてる…!)」

カグラは血の気が引いていくのを感じていた。

「丁度よかった。少々私のストレス発散に付き合ってくれませんかねぇ!!」

エスナは右手をハンマーに変化させ、カグラが隠れている墓石を叩き割った。カグラは軽い身のこなしで交わした。

「…なぜここに…!」

カグラは両手にナイフを構えた。

「帰省ですよ、帰省。いけませんか?」

「…嘘だ…!何か隠してる…!」

カグラはナイフをエスナに投げつけた。

「ご冗談」

エスナは右手のハンマーでナイフを打ち緒とした。

「お話ししませんでしたっけ?べノンは私の故郷だと。覚えていないのなら今覚えて下さい。まあ、今はどうでもいいことなんですけどねぇ…!」

エスナはカグラに駆け寄りハンマーを振り抜いた。カグラは跳躍して回避した。

「訳のわからないまま生き返され」

エスナは左手を槍状に変化させ、カグラに向けて連続で突き出した。カグラはナイフでさばきながら回避した。

「訳のわからない作戦に巻き込まれていく」

エスナは右手を鞭状に変化させ、カグラに向けて伸ばした。右手はカグラの胴体に巻き付いた。

「こっちの身にもなってくださいって話ですよ…!」

エスナは身動きがとれないカグラを持ち上げ、左手の槍を喉元に突きつけた。

「…っ!離して…!」

「カグラ様にも私と同じ苦しみを味あわせてあげましょう」

























作者コメント

カグラちゃんかわいい

最近アツミさんがブラコンに見えて仕方がない(;`・ω・)

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