逆リハとは、出演順の反対の順番でリハーサルを行うこと。

マリーアンドファナーズはトップなので、リハの順番は最後。

「あと3分しかないので、セッティングできたら声かけて下さい。」

複数の出演者がある場合、トップに出るメリットは2つある。

 

 ひとつは、観客がフレッシュな状態であるということ。「聴く、見る」ということにまだ疲れて

いないということ。

積極的に楽しもうという好奇心がフルの状態であるということ。良い演奏をすれば、強く深く

心にとめてもらえる。

もう一つは、リハのセッティングのまま、本番に臨めるということ。PAも、手元機材もアンプも、

リハの状態のままなので、本番の声がかかれば、すっと出て行って、スマートに演奏開始でき

ること。

 

 この逆がすなわちデメリット。

お客さんの期待が高い分、がっかりされる可能性も高い。とくに、この日は午前11:15という

早いスタートなので、しっかりウォーミングアップしなくてはならない。

リハ、一番最後で、そのまま本番というのは良いが、それまでに時間が押して、最悪の場合、

リハなしということもある。

こちら、アマチュアの野良犬なので、そんなことで一喜一憂しない。すべてを受け入れるのみ。

 

 さて、とりあえず、1コーラスの4小節くらいまで演奏もできた。御の字である。

「では、本番よろしくお願いします。」

 ここのPAは腕利きで、とにかく完璧。これ以上が想像できないほど。

冗談ではなく、実力以上の音を作ってくれる。しかもここはホールではなくて屋外である。

さすが、上田正樹の認めたプロ中のプロ。

ギターアンプは定番JC120、なんの迷いもなくフラットセッティング。

PAコンソールから 「なにか要望がありますか。」

「ありません。」 と即答。

 もう、ほんとに雲の上にいるような心地よさ。

江戸時代の貧乏長屋暮らしの素浪人がタイムスリップして現代のホテルオークラのスイートルームの

ベッドで寝るときのような気分が味わえる。

 宮城県出身のアナウンサー女史の紹介に預かりながら舞台へ出ていく。

さあ、至福の15分が始まる。