アルゲリッチの音楽、すなわちピアノ演奏は、信じられないほどのなめらかさと力強さがある。

この映画のタイトルとおり、彼女本人が音楽であって、ピアノはただの道具であると規定すれば理解しやすくなる

ことに気が付いた。それほど衝撃的なほどの演奏なのだ。 

 

 今日、この映画を見に行った動機は、そんな超越した演奏力のピアニストがどんな人なのかという興味だった。

しかし、実の娘が撮影するドキュメンタリーが進行するに従い、その興味に対する意識が薄らいでいった。

 この映画の主題は、じつは、アルゲリッチの人となりを紹介することではないことに徐々に気づかされた。

撮影者たる三女と母の関係性が表現の主題だったのだ。

 

 映画のなかでアルゲリッチは、ことあるごとに「言葉では説明できない」と言う。それは、音楽のことであり、家族に対する思い、

過去の出来事、自分の考え、すべてに対してだ。

 

 とても心地よい時間が過ぎて行った。アーティストの伝記をお勉強に行ったのに、そんなことどうでも良いような

暖かい優しい気持ちになって映画館を後にした。

 

http://www.argerich-movie.jp/