Jim Hall & Pat Metheny(1999) | 全ての音は音楽か

全ての音は音楽か

色々書いたりつぶやいたり。音楽の話ばかりです。

1.Lookin' Up
2.All The Things You Are
3.The Birds and The Bees
4.Improvisation No. 1
5.Falling Grace
6.Ballad Z
7.Summertime
8.Farmer's Trust
9.Cold Spring
10.Improvisation No. 2
11.Into The Dream
12.Don't Forget
13.Improvisation No.3
14.Waiting To Dance
15.Improvisation No. 4
16.Improvisation No. 5
17.All Across the City
 
Jim Hall(electric guitar)
Pat Metheny(electric guitar, acoustic guitars, fretless classical guitar, 42-string guitar)
 
Produced by Gil Goldstein, Steve Rodby and Pat Metheny
 
ジム・ホールとパット・メセニーのデュオの作品です。全17曲。
 
1曲目は優しくロマンチック。二人ともこもった音のギターで音色も似ている印象ですが、おなじみのフレーズが出てくるので彼らの演奏を聴く方は気づくと思います。2と3はライヴ録音。2はスタンダードとしても有名な曲です。まるでダンスをしているかのように軽やかで心地よいリズムです。これは凄いです。3は印象的なアコースティックギターで始まります。哀愁を感じさせながら、軽いリズムで進んでいきます。4曲目は1分間の演奏。5曲目は跳ねるバッキングが可愛らしい雰囲気です。6曲目は深く沈んでいくような印象。内側に向かっていくようなイメージもあります。7,8,9はライヴ録音。7はパットのアコースティックギターのバッキング特徴的な曲です。開放弦をうまく使ったコード演奏ではありますが、ちょっとこれはないんじゃないかと思いました。8は牧歌的で柔らかく優しい演奏です。9は洗練されたコードバッキングが印象に残った曲です。10は次の11曲目に繋がる、連想させるような演奏。ピックスクラッチの音も入ったりノイジーな音も入っていますが、うるさかったり不快と感じませんでした。これと11曲目だけ別の空間のようです。11曲目は元の演奏(Imaginary day収録)とは違った雰囲気です。低音と共鳴弦の作り出す空間は凄いです。空気を上手く読み取ったジムの演奏もさすがです。エスニック、特にアジアのイメージも多少。12はパットの作曲(天国への道のサウンドトラックから。メセニー・メルドーのカルテットにも別の曲が収録されていますね)。二つのギターという事もあるでしょうが、シンプルで素朴な印象です。こもった音には暖かさや温もりを感じます。13は冬のイメージ。落ち着いていて、少し悲しげな感じがしました。これがインプロヴィゼーションというのだから驚きです。14は和やかな感じです。優しい音と軽くステップを踏むような演奏は親しさを感じます。15は調性感を感じません。それぞれの演奏に反応しているところも感じますが、フリーに近いような印象です。16は寂しく不安な感じをうけました。17は遅いテンポで語るように演奏されます。ジムのギターがとても綺麗に響きます。これもライヴ録音です。
 
1,9,14,17はジム・ホールの作曲、6,8,11,12がパット・メセニーの作曲です。
 
二人のギタリストによる親密な演奏を聴く事が出来ます。ただ、ギターファン以外にはなかなかアピールするところがないという印象も持ちました。PMGのような派手さやわかりやすさもありませんので、パット・メセニー(グループ)のファンの方が聴いてもいまいちという印象を持つ方もいるのではないかと思います。対してジム・ホール目当ての方はそれ程大きな不満を持つ事も無く聴けるのではないかと思います。的確で魅力的な演奏はここでも健在です。
 
曲はある程度バラエティに富んでいると思いますが、全体的に内側に向かっていくような印象でした。
Jim Hall & Pat Metheny