Charlie Haden/Kenny Barron - Night and The City | 全ての音は音楽か

全ての音は音楽か

色々書いたりつぶやいたり。音楽の話ばかりです。

1.Twilight Song

2.For Heaven's Sake

3.Spring Is Here

4.Body and Soul

5.You Don't Know What Love Is

6.Waltz For Ruth

7.The Very Thought Of You

Charlie Haden (bass)

Kenny Barron (piano)

Recorded live on september 20,21,22 1996 at The Iridium,N.Y.C


Charlie HadenとKenny Barronのデュオで98年のCDです。


本当は Charlie Haden/Kenny Barron - Night and The City(1998) としたかったのですが、長すぎて入らなかったようです。タイトルの書き方を変えなければいけないかな。


1曲目が始まると同時に徐々に広がるモノトーンの世界。しばらく目を閉じて演奏に心を預けてみる。煌びやかなものは一切無い。少しこもった音のピアノと寡黙なベース。どちらが出るわけでもないし引くわけでもない、ただそこに存在した音が曲になっているだけなのだろう。閉じた目の裏には薄暗く、茶色とも黒とも感じる、濃淡だけで表された空間が現れる。そして色気とある程度の幸福感。派手さが無く、主張してくる演奏ではないため、BGMにもなってしまうだろうが(BGMを悪いと言っているのではない)一度この静謐な音の世界に入ってしまえば、抜け出すのは容易ではないだろう。そして最後の曲が突然終わってしまったあと、ある程度の、聴いている間に少しずつ大きくなっていた幸福感は聴いていた人を優しく包むだろう。


曲名を見るとわかる方はわかる(ジャズを聴く方は特に)と思いますが、有名曲や色々な人に演奏されている曲ばかりです。それ以外、1曲目はKenny Barron、6曲目はCharlie Hadenの作曲です。


きらきらと光る宝石のようなイントロと共に1曲目が始まり、そして最後の曲が終わるまでそこに流れるのは静かで控えめな演奏です。ジャケットを見てどのような音楽を想像するでしょうか。人それぞれ違うでしょうが、恐らく「大人のジャズ」と思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。

簡単に言ってしまえばそういう感じです。高層ビルの夜景が綺麗なレストラン(ブックレットには夜景の写真が入っています)もしくはジャズバー等。曲中に食器やグラスの音が入っているせいもあるでしょう。そういった音は邪魔にならず、むしろ雰囲気や演奏の色気をより強くしているように思います。


1曲目などわかりやすいですが、音の世界に入り込んでしまって気づかなかったのか、それともその雰囲気にはばかられたのかわかりませんが、それぞれのソロが終わったあと少し遅れて控えめな拍手が聞こえます。ここも印象的です。


ジャズと言っても色々ありますね。ジャズはジャズでもアシッドジャズならジャミロクワイもそうですよね。多少前の話になりますが、ジャズを専門で取り扱うお店でお客さんが店員さんに「ジャズを聴いてみたいんですけど、お勧めはありますか」と質問していました。その店員さんはMiles DavisとArt Pepperを薦めていました。中古も取り扱うお店だったので試聴も出来るのです。そのお客さんは試聴をしていましたが、しばらく聴いたあと首を傾げて「ありがとう」とCDを返してお店を出て行きました。

その時店員さんが「どういうもの(雰囲気・イメージ等)を聴きたいのか」と一言質問していたらもっと親切だったかなとも思いました。


その話ではないですが「(落ち着いた)大人のジャズ、高層ビル、夜景、ワイン」等、私見ですがそのようなイメージの音楽を聴きたい方にはいいかもしれません。


結局知っている限りの言葉を使って紹介するよりも、自身の耳で聴くのが一番だと思います。興味があって聴く機会があれば是非。

Night and the City/Charlie Haden with Kenny Barron
¥1,243
Amazon.co.jp