さて、今日は言魂の姿を見てみようと思います。
以前に、[言魂の不思議編で、言葉の響きの神秘的な美しさについて、書きました。]
読んでない人はクリックしてみてね。
今回は、言魂の姿について考えてみよう。
1番目に、
人が相手に事柄を伝える場合、言葉を発して、相手に伝える事が多い。
その場合、人は思考する。
心の中に、言葉が生まれる。
思考してから、言葉を発する。
しかし、思考と言葉は、必ずしも一致していないことがある。
心にも無い事を言う。
口が滑る。
いい間違い。
思考のイメージがまとまっていない状態で、言葉になることも多いはず。
だからといって、しっかりした思考生まれた言葉と、
その効果はなんら代わりが無い。
受け取った相手にとって、強力な力となる。
言魂が力を持つとされる第一点である。
2番目。
言魂という言葉を分解してみる。
『言』『魂』。言葉の魂。つまり、言葉の心という意味である。
つまり、言葉を発する自分の心。
発せられた言葉の心。
ここに2つの心が存在する事になる。
どちらも、『自分』であるはず。
しかし、自分の内側の心に対して、
発せられた言葉の心には、受け手の心にも影響し、また影響を受ける。
2人の会話の中に、3つの心が宿る。
自分がこういった想いで発した言葉が、
相手に思いもよらない効果を及ぼすのは、このためである。
一度外に出た言葉は、別の人格を持ち、自分の手に帰って来ない。
だから、言葉は力を持ち、魂を持っているのである。
古代から、こういう力を感じている人がいて、
恐れ敬った事も、当然なのである。
一言が、国を作り、国を滅ぼす事もあるのだから。
こういった力を、和太鼓に活かすにはどうしたらいいか。
音を出すと同時に、言葉で音を表してみる。
音を出すと同時に、言葉で拍を刻んでみる。
そうするとどういう事が起こるのだろうか。
自分の心で体を動かし、音を出す。これが第一の心。
発した言葉が、もう一つの心を持つ。
つまり、自分の表現と別の表現、別の魂が生まれる事になる。
自分で発した言葉の言魂をもう一度聴き、新たな表現に気付き、
また自分の中に新たな表現が生まれるのである。
だから、声を出して練習する事は、非常に重要なのである。
指導の方も同じで、教えている自分が発した言葉で新たな発見ができる事が、
良くある。
教える事が、最良の練習になる、と言うのは、こういう事なのである。
実際の生活でも、言葉を発する事は、非常に重要で、
自分がどういう考えを持っているか、声に出したり、文字にしないと、
分からないこともある。
声を出さないと、自分が分からなくなり、悪い方にばかり心が傾いてしまう、
といった事もありうる。
他人との意思疎通以外に、言葉には、こういった力もある。
こういう力に、古代の人は、気が付いていたのではないだろうか。
こうやって記事を書いている私も、
普段から、こういった考えはなかなか出てこない。
しかし、自分の発した言葉に、更に考えさせられ、
文章にしていっている事は間違いない。
『他』とのコミュニケーション以外に、
『自』とのコミュニケーションを図る力。
人類が勝ち得た、偉大なる『言魂』である。
和太鼓教室おんがくの森代表・坂本新吾
メール ongakunomori1978@gmail.com
電話 08033760407