ホタル(あだ名)と京子ちゃん。 | 寿 栄 -鎮魂の歌

寿 栄 -鎮魂の歌

養護施設生活&矯正施設生活を総算すると人生の半分以上の割合を占める悪たれ人生を、最後の懲役となる約8年余りの服役生活のなかで、思い描いた文章をまとめています。

私が養護施設に入園した直後だった。

同級生の京子ちゃんが、いきなり私のことを「ホタル」と呼び始めた。

なぜホタルなのかを問い質してみても要領が得ない。

その内に、施設の保母さんや間名指導員さえも「ホタル」と呼び始めた。

自然、私の名前を呼んでくれる人も少なくなり、ホタル=私と化してしまったのである。

 

ある日、京子ちゃんに、

「何でホタルなん?」と、真剣に聞いてみた。

「ホタルっち、見たことあろうもん?!

いっつも、大人しかばってん、怒ったらお尻に火がついたようになるけんくさ。」

ホタルが怒ると、お尻に火を付けるのかと言う疑問はあったが、分かったようで、分からない理由で私自身も納得し、施設を出るまでホタルと呼ばれることになり、何ら疑問を抱くことはなかった。

 

 その、京子ちゃんは泣き虫で甘えん坊ではあったが、私にとって初恋の女性でもあった。

両想いと言って良いのか悪いのか、京子ちゃんといつも一緒にいたような気がする。

そして、とんでもない要求で私を振り回していたが、私のことを1番に理解してくれていた人であった。

京子ちゃんとの思い出は、決して楽しい事ばかりではなかったが、私にとって、大切な思い出、大切な時でもあった。

 

 

・・・幼い日の思い出は、秘めて大切にするのも良いだろう。

けれども、小さな時の流れのなかで

ひとつひとつの想い出を手繰りながら、

自分を、本当の自分を、見つけることも大切である。

確実な一歩を踏み出すために探そう。

本当の自分自身を探す旅に出よう・・・