あなたに・・別れたあの人に贈る・・ | 寿 栄 -鎮魂の歌

寿 栄 -鎮魂の歌

養護施設生活&矯正施設生活を総算すると人生の半分以上の割合を占める悪たれ人生を、最後の懲役となる約8年余りの服役生活のなかで、思い描いた文章をまとめています。

 

汚れた壁の中から

 

初夏の風に乗せて

僕の想いを 遠いあなたの胸のなかに贈ります。

 

自己葛藤と確執に汚れた この僕の

あなたへの想いは 果てしなく遠くなってしまった

あなたの胸に届くでしょうか。

 

あの朝 僕の両手に 冷たい金属音を聞いた あの朝

僕の あなたへの想いが

真実であったことを 確信しました。

 

空を見上げた僕の 遥か向こうの空で

涙に濡れたあなたの顔が ほんの一瞬

ほんの一瞬ですが はっきり見えたのです。

 

あれから僕は 悲しみの深い奈落の底へと

突き落とされて行きました。

聞くこと 見ること 全てが僕の胸を砕き

落とす涙さえも 自分の涙なのかという疑問を抱き

何日も 何日も 苦しみ悩みました。

 

しかし それは

決して 僕だけの問題ではなかったのですね。

あなたのこころを 僕が 僕自身が深く傷つけ

夢も希望も

はるか闇のなかに 砕き散らしていたのですね。

 

あなたと僕の思い出は 全て過去のものと遺され

二人は別々の道を歩くことになったけど

あなたとの思い出を 大切な過去の日々を

闇のなかに閉ざさないために

僕の想いを 遠いあなたの胸のなかに贈ります。

果てなく遠い 

あなたの胸のなかに 届くでしょうか。

果てなく遠い

あなたのこころに 届くでしょうか。

 

 -あなたと別れて もう数日経ちました。

僕のこころのなかは未だ、整理は出来てはいませんが、寂しさや悲しみよりも もっともっと深い

あなたへの懺悔の気持ちでいっぱいです。

幸せになって下さい。

どうか 幸せになって下さい。- 

拘置所 独居房にて