別れと出会い(2)「拘置所・独房にて」 | 寿 栄 -鎮魂の歌

寿 栄 -鎮魂の歌

養護施設生活&矯正施設生活を総算すると人生の半分以上の割合を占める悪たれ人生を、最後の懲役となる約8年余りの服役生活のなかで、思い描いた文章をまとめています。

 

出会った魂の母へ

 

重い扉の小部屋のなかで 虚脱感に襲われた私は

巡りいくときの 流れのなかで 何を見ていたのでしょうか。

 

雨音が コンクリートを叩く数よりも

自分の手の平に落ちた 涙の数の方が多く

私は何も見てはいなかったのです。

 

過去も 現在も 将来も

全て 何も見てはいなかったのです。

 

そんな時 不思議に出会った 魂の母

行くたびにの 便りを交えるなかで あなたは私に

優しく厳しい愛を 教えて下さいました。

そこに 私は 一条の光を見たのです。

 

今はまだ 私の行く道は定まらず 

ただ ひたすらに灯りを求め さまよい歩くなか

あなたは私に 

暖かな手を差し伸べて下さいました。

 

 

今はまだ 将来の灯りは観えず 

辛いことが多々あるけれど

あなたが言う 自分の人生を変えるために

一歩一歩踏み出して行きます。

 

あなたの気持ちを無駄にしないように

あなたの愛を無駄にしないように

一歩一歩確実に踏み出して行きます。

 

姿も見えない あなたの愛に抱かれて

「ありがとう」の言葉を胸に抱き 行って来ます。