【平成13年10月3日】
小さい子ども幼児にとっては憧れとなるのも無理はないと思われる。 近くに住む5才のお兄ちゃんの所にしばしば預けられた頃、このお兄ちゃんの影響でけんたがウルトラマンに憧れたようだ。
以来、玩具、お面、音楽そしてVTRはウルトラマン一色といって良いほどである。親も子供の選好に迎合して、ウルトラマンの玩具を与え、ウルトラマンの催し物に出かけて、その傾向に拍車をかけた。
鳶尾に来て、怪獣ごっこが始まった。自分はウルトラマン、おじいちゃんは怪獣。大きな体の怪獣にキックを入れ、空手チョップを食らわせ、倒し『マイッタカ』という。『参った』といって、倒れる仕草が終わると一応フルコースが終わる。これを際限なく繰り返す。
平和愛好主義者のおじいちゃんは、『敵ではない』と、両手を広げて友好の仕草を見せるアニメ トイストーリーの主人公『バズライトイヤー』が大好きだと、しきりにけんたの嗜好を変えようとしたものだが少しは効果があっただろうか。
鳶尾幼稚園に通いだし、おじいちゃんが14:00過ぎにお迎えに行くことが多くなった。お迎え時間帯は14:00から15:00。定刻になると園児が整列して園の中央の庭に並ぶ。迎えの保護者が現れると、先生と挨拶し『また、あした』と平手と平手でハイタッチして別れる。
保護者がこの整列のタイミングに遅れると、先生は残された園児を一つの教室に集め、そこで保護者が来るまで自由に遊ばせる。
Oちゃんがけんたを幼稚園に迎えたある日、帰宅したけんたが『オーチャン、アシタハ ハヤク ムカエニキテネ』と言っているのが耳に入った。
普通の子どもなら友達と遊びたくてお家に戻るよりも幼稚園や遊び相手が居る外に居る方がいいものと認識していたおじいちゃんにはこの言葉が少し奇異に耳に残った。
おじいちゃんはけんたを幼稚園に迎えにいくタイミングをいろいろ変えて見た。園庭で整列している早いタイミング、教室にまた戻って遊んでいるタイミングに出かけ、できるだけ身を隠してけんたの様子を見るようにした。
教室では独りで遊んでいる。他の子は友達と遊んでいるようだが、けんたはどちらかというと、端でブロックや積み木で独り遊びだ。鬼ごっこやゲームで教室中を飛び跳ね回っていると想像していた姿とは大きくかけ離れていた。
ある日、けんたに、かまをかけて訊いてみた。『先生に叱られたでしょう。けんたくん、キックしてはだめ!と』声を少し強くして先生の叱り声を真似てみた。
けんたは『ソンナ ツヨイ コエ ジャナイヨ。ヤサシク、イケマセンヨ、トイッタモン』と叱られた事を認めた。やはりそうだ、家であれほどウルトラマンをやりたくて『オジイチャンハ ウルトラマンゴッコ アソンデクレナイ』と泣き声で、要求するのだから、幼稚園でウルトラマンゴッコをしないはずはない。
しかしこの遊びは、怪獣役が要る。怪獣役はキックされ、空手チョップを受け、投げ飛ばされる。『参った』といわなければならない。キックも力加減が狂うと結構痛い。不公平な、暴力的な遊びである。多くの幼児達に受け入れられるどおりがない。