静かな夜に | アラシックな日常Ⅱ~嵐*大宮白書~

アラシックな日常Ⅱ~嵐*大宮白書~

こちらは『アラシックな日常』(にのたん)の移転先です


主に腐小説、相方おーのたんとの日常を書いています


妄想小説は大宮メインです。その他櫻葉、にのあい、櫻宮などなど


※時々アニメ、声優さん関連記事あり

「智君、ほんとに別れたの?」

収録が終わりマネの車に急ぐ俺を呼び止めたのは少し眉間に皺を寄せた翔君だった。

そっか……翔君は昔から和のこと、弟みたいに可愛がってたから別れたと知って怒ってんのか。

「ああ、別れた。」

別れたのかって聞かれればそう答えるしかない。

「何故?あんなに仲良かったのに……」

そういえば俺らが付き合うって言った時も翔君はこうやって俺に突っ掛かってきたっけ……

「智君からだよね?別れを切り出したの……」

「ん……俺がもう止めようって言った。」

「…………ふざけんなよっ!俺、あの時も言ったよな!なんで今さら付き合うんだって!上手くいきっこないって言ったよなっ!」

そうだったな。万が一別れるような事になったらどうするんだってえらい剣幕だったな。

翔君、正解だよ。俺らが上手くいく訳なかったんだ。

「………束縛すんだよ………」

「えっ?……束縛?」

「ああ……アイツさ……ずっと俺のこと見てんだよ。」

俺たちは昔から他人に束縛されるのを嫌っていた。1人で過ごす時間が欲しかったし、大切にしてきた。
同じ価値観の和となら上手くいくと思った。

「でも、ニノそんなに束縛なんてしてなかったでしょ?智君、以前と変わらず釣りにも行ってたし……ずっと一緒って訳じゃなかったでしょ?」

「はぁ?……違ぇよ……束縛してんのは俺の方なんだよ」

俺の言葉を理解出来ないのか翔君がキョトンとしている。

「なあ、知ってるか?アイツさ……俺と付き合い始めてから後輩と飯食ったりゲームしたりするの止めてんだよ。」

「…………そういえば、最近そんな話しは全く聞かなくなったけど……」

そう、和はいつ俺から連絡が来ても反応出来るよう普段全く予定を入れていなかった。
その証拠に俺が気まぐれに和に「うち来ない?」って連絡したら100%うちにやって来た。

「俺の存在が和を縛り付けてたんだよ。そんなのおかしいだろ。」

俺たちは互いに束縛しない関係を望んでいたのに結果として俺が和を束縛していたんだ。

「でも、それは普通のことじゃないの?好きな人と一緒にいたいとか普通の感情だよ。」

「それは俺らが望んだ関係じゃねぇ。だから和を解放してやりてぇんだ。」

「智君……本当はまだニノの事……」

嫌いになる訳ない。嫌いになる要素なんて何ひとつない。
だからこそ俺は和との別れを選んだ。いつか和が俺と付き合う事を窮屈に思う前に和を自由にしてやりたかった。

「じゃあな。」

「ん………智君……またね……」


まだ何か言いたげな翔君を残してマネの車に乗り込んだ。

「…………雨が降って来やがったな……」

流れる車窓をボンヤリと眺めていれば俺の身体が吸い込まれていく……


静かな夜に