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3日前に歩いて来た三角寺へ車で戻ってきた。

今日はここから別格13番の仙龍寺まで歩く。

事前に山越えというリサーチはしていたので荷物を必要な物だけに軽量化してスタートすることにした。


三角寺から仙龍寺へのルート

①クネクネの舗装路をひたすら歩くけどすごく距離が長い。

②山道を歩くけど、あまり推奨されてない。



②の推奨されてない。というのは毎年のようにお遍路さんの滑落事故が起きているからだそうだ。
そんなこともあり住職さんも①のルートを勧められていた。



距離や時間も選んだ理由のひとつとなったけど、軽量化し、登山装備で「気をつけて歩いていこう」と私たちは②を選んでいた。



だけど住職さんもおすすめされなかったことで、どこか気がひけて、なんだか悪いことをするかのように2人とも躊躇している部分があった。


三角寺を参拝して②の取り付きの【遍路道】の標識を発見する。

ちゃんと案内板があることにホッとしたが、他の参拝者の方の目が気になる。。。


ここですよね。

どうしよっか。


と、コソコソしていると地元の方のおじさん2人組がその遍路道へ入って行かれようとしていた。


先輩がすぐに声をかける

「仙龍寺へ行かれるんですか?」


おじさんたちは仙龍寺の途中まで行くそうで途中までで良かったら案内してくれる。と。


ありがたく同行させてもらうことにした。



「ゆっくり気をつけて歩けば大丈夫だから」と言ってくれた。


よく事情やルートを知っている地元の方が一緒に歩いてくれることで、躊躇していた気持ちがスッと和らいだ。








道中、色んなお話しをしてくれた。

おじさんたちも山をやってるそうで全国の色んな山のお話しや、面白話しなど


山屋さん、どうりで足の運びがいいと思ったよ…。





私は、うまく聞きとれない部分がたくさんあったけど後で先輩が教えてくれた昔のお遍路さんの話し。



遍路道によくある無縁仏のお墓


昔は結核や伝染病にかかると死んでしまう。みんなが移ってしまったら村が全滅してしまう。
だから伝染病にかかった人は村を追い出されてしまう。

でも昨日までは村の仲間だったのに追い出すのは心苦しいだろ?
だからみんなで集めたお米やお金をたくさん持たせて村を追放するんや。

村を追い出された人は行くとこなんかないわな。
そんな人たちは四国に渡ってお遍路さんをするんや。
そしてこんな過酷な場所で行き倒れていくんや。
このあたりもたくさんおったらしい。

行き倒れたお遍路さんを地元の人が見つけて、たくさん持っていたお金でお墓を建ててあげたんよ。


そんな内容の話しだった。




悲しく深いお話しにビリビリと鳥肌が立った。




自分が歩いてる時や、他のお遍路さんとお会いした時、みんなそれぞれの願いや想いがあって歩いてるんだと思うと、いつもそれを想像するだけでも涙が出そうになる。


目を瞑って手を合わせてる姿や、足が悪くても必死に階段を登ってる姿。
そういうのもたまらなく心が揺さぶられる。




そして今回のお話。

今まで何度となく見てきた古い古い石のお墓

そんな悲しい過去があったんだと思うとまた更にお遍路さんの重みや深みを感じた。




これまで何度も先輩と話してきたけど、今この現代でも過酷な場面が多々ある歩き遍路。
昔は携帯もコンビニもないし、今のようにお店もないし道ももっと悪かっただろう。
どうやって歩いていったんだろうね。
今、私たちが同じことをやろう。ってなっても絶対にできないよね。


本当に命懸けだったんだと。

お遍路さんの正装の白衣は、いつ行き倒れてもいいように。と死に装束。



ビリビリくるよ。



歩き遍路をやっていると、歩きでしか見れない景色、出会えない人、聞けないお話し、全て財産だなぁ。ひしひしと感じた。



色んなお話しをしながら、考えさせながら歩いていると秘密基地のような場所に着いた。








「わしらはここまでや。ちょっとコーヒーでも飲んでいったらいいわ」


と、暖かいコーヒーを淹れてくれ、ビスケットまでいただいた








残りの仙龍寺までの道のりの説明と、危険ポイントのアドバイスを丁寧にしてくれた。


おじさんたちとお別れし、本格的な山道に入る




ヒーコラヒーコラ山越えしては下ると

独特な雰囲気のひらけた場所に








うわぁ







なにここ







山の奥深いところにこんな場所があるなんて。


こういうのも、昔昔に、どうやって物を運んで造り上げたのかと思うとただただ感動する。


ここでも手を合わせて先へ進む



激下りの山道を越えて

最後の、階段を降りたら仙龍寺だ


滑るので慎重に。









わぁぁぁーーー
 



四国総奥の院、別格13番・仙龍寺












古くて大きくて趣きのある立派な建物に

2人で「すごい!すごい!」と声を上げながら見渡す



靴を脱いで中に入る




本当にすごい!












境内も広く色々とゆっくり見たかったが、あまり時間がない。


三角寺からここまで2時間半かかった道のりをまた戻らなければいけない。


ここもまたいつかゆっくり来たいね。と話しながら後にする。



激下りだった道は、帰りは激登りだ(汗




行きには通らなかった滝ルートというところを通ることにした。


立派な滝








しかしこの後、台風の影響だろうか


ルートが一部崩壊していて道を見失う

しばらく2人でウロウロして、目印を発見してホッ。



ヒーコラヒーコラ山越えして


また2時間半

三角寺へ戻ってきた。




なかなかキツイ道のりだったけど、この仙龍寺への道、そして仙龍寺、すごく良かった。


一期一会の出会いにも感謝して。






そして昨日、傘を忘れた椿堂へ

また住職さんから優しさをいただく。





今日は九州へ帰る日

帰る前にもう一つ。



別格9番・文殊院へ立ち寄る

ここはそれぞれソロで歩いていた時に、


「ん?八十八ヶ所発祥の地?」
「でも八十八ヶ所のお寺じゃないなー」

って同じように疑問を持ちスルーしていた場所。



疑問を持ってただけに2人とも鮮明に覚えていた。


 
別格だったんですね













今回とんとんと、別格を3つ打つことができたけど、これからは八十八ヶ所に絡めながら歩いて繋げていく。


大変だけどひとつひとつ繋がっていくことも楽しみだ。




こうして今回の四国の旅は一旦終了した。