「これで借りてきて。5本ばかし」
高校1年で寮に入っていた当時のボクは、その寮のボスでもある
3年生の柔道部キャプテンのいいつけにたいし、間髪入れずに
「ハイ!」と応え、5秒後にはチャリに乗っていた。
これで借りてきて、の「これ」とは手渡された会員証をさす。
会員証とは、レンタルビデオの会員証。
そう。高校生によくあるはなし。大人が見るビデオを借りてこいとの指令なのだ。
高校1年とはいえ、まだ、15歳だったと記憶している。
中学でボウズアタマだったこともあり、髪もまだ「ほぼボウズ」。
そんなもの借りたことは、このかた一度もなかった。
「ぜってー、18歳以下って、ばれる!!!!」
あまずっぱく、あせった。
ただ、後に東京都内にあるM大学の柔道部に推薦で入るほどの
能力を秘めた、その柔道部のキャップは寮の後輩たちからは
「筋肉バカ」というニックネームでしたわれるほどの猛者。
(^-^)☆ε^ )LOVE
LOVE
問答無用、言語道断。
生まれてはじめて、そんな空気を感じた。
だから走った、あれはたしか夏の夜。
チャリにのって。
脳裏をよぎる、オザキの曲。
♪チャリにまたがって はしりだす~
ゆくさきは~ エロビデオ屋~
借りてくるやつはぜんぶ~ 巨乳~ ♪
そう。5本のうち、高校3年にしてすでにAVの帝王だったキャップは
女優の名前をドラフト指名するほどのつわものだった。
女優の名前を言われても、いまいちピンとこなかったものの
「ボイン夏祭り」(仮)ぐらいのわかりやすいタイトルが
並んでいたせいか、キャップの趣味趣向はわかった。
なるほど、ボインか‥。
その後、お店でとがめられることもなく、無事に5本を借り切った。
そして、ボクの帰還とともに気を利かせてキャップが寮の部屋で催した「AV大鑑賞会」。
そこでボクは同級生の一同から「戦地から戻ってきた一等兵」のような
尊敬のまなざしでむかえられたことをいまでもおぼえている。
「アイツがAV、借りよった~(彦摩呂)」。
あまずっぱ~い。
そんな、夏のおもいで。