
誰にも告げずひっそりと行った。
変装して、
事情知らないケンミンを連れて。
毎回当たり前の様に、
貰っていたTicket。
最後は自分で初めて購入した。
素晴らしいバンドだったから、
凄く申し訳なかったって気持ちが込み上げてきたのを覚えてる。
自腹で行くべきバンドだった。
Live後、
私が来てたって話が出て、
『まさか、有り得ない』
って話してたそう。
まさかのまさか。
曲作りの原点は、
貴方にある。
それを伝えた途端、
口ごもったのは、
まだきっと音楽に未練があるんだと覚った。
現状を素直に喜んではくれなかった事、
受話器ごしに痛いほど伝わったから。
負けず嫌いな彼の癖。
久々に電話をかけたのは私で、
不在かと思い、
切るや否や、
数秒後にコールバック。
出会った初期の、
ぎこちない関係に戻った様な、
照れたように話す彼に、
若干戸惑ったけど、
五年たった今でも変わらず、
嬉しそうに話す声に涙が出そうになった。
そう、
直接話すのは五年ぶりだったの。
『今更お前の声なんか聞きたくない』
そう言われても、
可笑しくないのに。
昔より優しい彼だったから、
余計思い出して切なかった。
口下手な彼。
幾度の沈黙にも、
電話を切ろうとしない彼。
すごいすごい救われた。
会いたくて会いたくて、
堪らなくなることもあるけど、
逢わないのがお互いのためだと覚ってるから、
もう逢わない。
逢っちゃいけない。
逢ってしまったら、
後戻りは出来ないから。
同じ空の下にいる真実。
これだけが、
今の私を安定させてる。
それだけで、
生きていけるよ。