フラッシュバック | 塵も積もれば猫となるⅢ

塵も積もれば猫となるⅢ

~毒舌鬼没につき注意~

最後のライブには、

誰にも告げずひっそりと行った。

変装して、

事情知らないケンミンを連れて。



毎回当たり前の様に、

貰っていたTicket。

最後は自分で初めて購入した。

素晴らしいバンドだったから、

凄く申し訳なかったって気持ちが込み上げてきたのを覚えてる。



自腹で行くべきバンドだった。







Live後、

私が来てたって話が出て、

『まさか、有り得ない』

って話してたそう。



まさかのまさか。









曲作りの原点は、

貴方にある。



それを伝えた途端、

口ごもったのは、

まだきっと音楽に未練があるんだと覚った。



現状を素直に喜んではくれなかった事、

受話器ごしに痛いほど伝わったから。



負けず嫌いな彼の癖。





久々に電話をかけたのは私で、

不在かと思い、

切るや否や、

数秒後にコールバック。





出会った初期の、

ぎこちない関係に戻った様な、

照れたように話す彼に、

若干戸惑ったけど、

五年たった今でも変わらず、

嬉しそうに話す声に涙が出そうになった。



そう、

直接話すのは五年ぶりだったの。







『今更お前の声なんか聞きたくない』

そう言われても、

可笑しくないのに。





昔より優しい彼だったから、

余計思い出して切なかった。







口下手な彼。

幾度の沈黙にも、

電話を切ろうとしない彼。





すごいすごい救われた。







会いたくて会いたくて、

堪らなくなることもあるけど、

逢わないのがお互いのためだと覚ってるから、



もう逢わない。



逢っちゃいけない。







逢ってしまったら、

後戻りは出来ないから。









同じ空の下にいる真実。

これだけが、

今の私を安定させてる。







それだけで、

生きていけるよ。