娘が通う幼稚園は、とにかく明るかった。

なにが明るいかと言うと、

子どもに対しての教育方針が、

まずのびのびとして、おおらかなのだ。

先生方も明るい人たちばかりだ。

そして、ママたちも、明るかった。

わたしは、娘が幼稚園に通い始めると、

早速、ママ友が出来た。

いつも園庭で会うその人は、

同じマンションの人で、

2年先輩の美人でオシャレな人だった。

娘を預けると、

わたしたちはよく西新まで出かけて、

洋服を見たり、ランチをした。

少しすると、

同じ年少組のママたちとも、

ママ友になった。

話しをすると、

同じ転勤族の人、

近隣の県出身の人、

地元の人と、

バラエティに富んでいて、

いつもお互いの情報交換をしていた。

皆んないつも一緒で、

明るい人が多く、

わたしが福岡に来て一番楽しかったときである。

娘はというと、

早速、担任の先生から、

問い合わせがあった。

内容は、

「あのー、〇〇ちゃん、手繋いでもパッて離しちゃうんですけど…」

と、言うことだった。

わたしは、来たーっ!と、思った。笑

そこで先生に、

すみません…実は前からなんです。

2歳の頃からわたしが手を繋いでも、

離しちゃうんです…。

と、言うと、

「そうなんですか…前からなんですね」

「困ったな…皆んなで手繋ぐ場面多いんで」

「じゃあ、気をつけて見ますね」

と、さりげなく言ってくれた。

わたしはこのとき、

ずーっと悩んで来たことで、

自分以外の人が娘の習性を認識してくれたことが、

嬉しかった。

娘は、やはり、

他にも、他の子とは違う動きをよくしていた。

例えば、リレーなのに、

まるで、ゆっくりゆっくりと、

走るのだ。

他の子は、走れ!

と、言われたら、

言われた通りに走っている。

大人になってから本人に聞くと、

「だってなんで走るのか、わからなかったんだもん」

と、言うのである。

どうも娘にとっての、

走るという行為そのものは、

いつもお友達と遊びながら走るような、

自分から走りたいと思う願望であり、

それがなぜ?大人からの命令で、

人は走るのか?

人と競うのか?

という意味が分からなかったらしい。

そう言われてみれば、

わたしたちは子どもの頃から、

そんな理由などいちいち考えもせず、

先生や大人に言われたら、

教えられたとおりに、

右に倣えで過ごして来た。

それがわからなかったと言う娘は、

ある意味正しいのかもしれない。

小さいながらにも、

本質を突くような行動が、

多かったのだ。

個性と言えばそれまでなのだが、

だからと言って、

こういった集団生活では、

人と違う動きをすると、

たちまち目立ってしまう。

わたしは、

まだ可愛い盛りでは、

笑って許されてしまうこの娘の個性が、

果たしてまわりに受け止めてもらえるのか、

いつか悪い方に向くのではないかと、

このときから、気になっていた。

Keiko 

つづく