念願の免許を取得すると、

わたしはすぐに運転にハマった。

当時彼のクルマは、

CRXMT車だった。

CRエックスと言えば、

80年代に登場したスポーツタイプのクルマだ。

見た目はカッコいい!

けど、

この育児には全く合わないと思われる形状をした、

クルマの後ろの座席に娘を乗せて、

(当時はまだチャイルドシートは義務付けられていなかった)

まずマニュアル車なので、

クラッチを踏みながら、

ガチャガチャとレバーを入れ替えて、

福岡の知らない街並みを走ってみた。

今はAT車でナビもあり楽だが、

今思い返してみると、

当時はまだナビなしの地図を片手にして、

若さゆえの怖いものなしだったのか、

まあ、ガチャガチャしながらよく走ったと思う。

そうは言っても、

なにせ免許取り立てなので、

いろいろと失敗もした。

あるときは、

福岡のど真ん中の交差点前で、

ちょうど前にバスがいた。

その先にある信号はバスがいて見えない。

信号が見えないということは、

前の信号が赤に変わる可能性があるということだ。

それなのにわたしは、

バスが発進すると、

そのままバスにくっ付いて走った。

すると、

ちょうど信号が赤となり、

わたしは交差点のど真ん中で立ち往生してしまった!

ブブー!ブブー!

と、クラクションの嵐の中で、

いやー、恥ずかしいのなんの…

けど、クルマの運転て、

自分でそういう失敗の積み重ねするから、

だんだんとタイミングとか覚えていくし、

運転は上達する。

だから、

あー、こういうときは、こうするんだー

とか、

教習所だけではわからないことが、

実際に走りながらいろいろわかって来る過程で、

楽しかったのだ!

そんな度胸があった!

と、そのときの自分を褒めてあげたい。

運転が出来ることで急に視野が広がったのか、

わたしは急に、

育児だけしている自分が物足りなく感じて、

外に出たくなった。

無性に働きたかった。

彼に相談すると、

「まだ2歳だし、大丈夫かなぁ」

「まぁ、けいこがそうしたいならいいよ」

と、ちょっと娘を心配しながらも、

賛成してくれた。

わたしは、早速保育園のパンフを取り揃えて、

仕事を探した。

その中に、

無認可だけど、送迎のある保育園があった。

仕事は、大名にあるお蕎麦屋さんに決まった。

わたしは、久しぶりに働けることに、

ワクワクしていた。

Keiko 

つづく