『 ♪ close your eyes 瞳を閉じれば

     あなたが私に 微笑みかけるよ

    close your eyes 瞳を閉じれば

   希望へ駆け昇る あなたが永遠(とわ)に生きている 』



永渕 剛 さんの 『 CLOSE YOUR EYE 』 の歌詞です。



私が、この曲を聞いて思い出すのは 

2005年に公開された映画

『 男たちの大和 YAMATO 』 です。


この曲を聞くだけで、

映画が思い出され泣けてきます。

私の大好きな映画です。


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今回は、

映画 『 男たちの大和 YAMATO 』 中で

俳優 渡哲也 さんが演じた 

第二艦隊司令長官 伊藤整一 

をご紹介したいと思います。


映画をご覧になった方は、

渡さんの渋い演技が記憶に残っているのではないでしょうか?


その渡さんが演じた人物は 伊藤整一 というお人でした。


伊藤さんは、

私のふるさと大牟田市に隣接する

みやま市高田町のご出身です。


なので、今回は 

伊藤さんについてご紹介していこうと思います。


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伊藤さんは、

レイテ沖開戦後、『 大和 』 に着任。

連合艦隊司令部から無謀極まりない

大和水上特攻作戦の命を受け

第二艦隊7000名の命を預かる身として苦悩しつつも、

大和に死に場所ができたと覚悟を決め、

これを承諾し、

自ら陣頭指揮を執り出撃しました。



伊藤さんと大和との関わりは、

『 男たちの大和 YAMATO 』 公式HPからの

ご紹介文の引用にとどめ、


今回は、

吉田満著 『提督伊藤整一の生涯』 文藝春秋 という本から

伊藤さんの人となりを中心に

ご紹介していきたいと思います。



『 日本海軍最後の艦隊出撃の司令長官となった伊藤整一は、

  少壮時代から

  将来を嘱望されたホープの1人であり、

  異例のエリートコースを歩きつづけた俊才であった。

  

  出身は旧柳河 ( 廃藩置県後は柳川 ) 藩。

  出生地は福岡県三池郡黒崎開村 ( 現みやま市高田町 ) で、

  伊藤家は八代前からこのあたりに住みついた一族といわれる。

  生まれは明治二十三年(一八九〇年)七月のとら年。


  伊藤家は代々農家であるが、

  生家が有明海まで歩いてもせいぜい十分ほどしかなく、

  海に親しむ機会が多かったので、

  整一少年は水泳、

  殊に抜き手が最も得意なスポーツである、

  またフナ釣りにも大人に負けぬ腕前であった。


  生来、他人を羨むことも軽んじることもなく、

  万事にこだわらぬ、

  おおらなかな気性であり、

  また同じ年頃の子供たちのあいだでは、

  とびぬけて根気がよく辛抱強かった。   』



そして、その後

海軍兵学校を経て

海軍の道へと進んでいきます。



『  若い時代から常に正道を歩き、 

   筋を通すことで知られていた。 


   的確な状況把握、均衡のとれた判断には定評があり、

   良識人の多い海軍部内においても、

   知性はの代表格であった。


   ただし、筋を通すといっても、

   一方的に自説を主張するのではなく、

   部下、同僚に存分に発言させ、

   納得できるまで聞く。

   そしてよく考え、

   考えぬいてから発言し行動する。


   したがって、後になって言い訳をするようなことは、

   まったくない人であった。         』



このように、

伊藤さんは至誠の人であったと同時に、



『  また、強烈な愛妻ぶりであった。


  子供たちが父と母がいっしょにいる場面をふり返ってみると、

  いろいろと想い出はつきないが、

  いつどんな時にも、

  みずみずしく仲のよい夫婦であることには変わりがなかった。



  家では母はいつも和服を着ていたが、

  子供たちは成長するにしたがって、

  それが父の好みであることに気がついた。

  お正月とか、

  なにかお目出度い時だけでなく、

  ふだんからよく丸髷を結っていることもあったが、

  そうすると、

  父が殊のほか機嫌がよいことも分かってきた。    』



とても仲の良い夫婦にも、

そして家族にも別れの時は必ずきます。

伊藤さんの 愛妻、そして子どもたちとの別れは

戦艦 『 大和 』 にのるために出立するその朝でした。



『 厚木の自宅から 「大和」 が待つ呉に赴任する出立の朝、

  伊藤家の門は日の丸の旗で飾られていた。


  玄関を出る長官 ( 伊藤さん ) に、

  うしろから夫人が

   「 もし負け戦だったら、

     帰っても家へは入れませんよ 」

  と声をかけた。

  見ると、さわやかな笑顔であった。


  長官はそれには答えず、

  振りむくことなく、

  ゆっくりとした足取りのまま迎えの車へと向かった。


  軍の高官の夫人であれば、

  今や勝ち戦など望むえぬ戦局にあるのは、

  自明なことのはずである。

  負け戦だったら家へは入れませんよ、  

  という呼びかけは、

  夫が必死必敗の最後の戦闘に最善をつくし責めを果たし、

  英霊となって還ることを何よりも望んでいる、

  子供のことは安心して心おきなく征ってほしい、

  と告白しているにひとしい。

   

  夫人の笑顔は、

  常時長官に随行するのを任務とする石田副官の目に、

  そのように映ったのであった。      』





その愛する妻に伊藤さんは、




『 最愛なるお前様に後事を託して何事の憂いなきは 

  この上もなき仕合せと哀心より感謝致侯

  いとしき最愛のちとせ殿   』

 


という遺書を残しています。

そして、

1945年4月7日

坊ノ岬沖海戦において

大和はアメリカ航空艦隊の艦載機による総攻撃により撃沈されます。


伊藤さんは、

退艦を拒否し大和と共に戦死を遂げました。



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伊藤さんは

ご出身は高田町ですが、

お墓は私のふるさと・大牟田市にあります。



<幕末・明治> miki の 史跡巡り帳
【 福岡県大牟田市 『 伊藤一海軍大将墓所 』 08' .12 撮影 】



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私は、

第二世界大戦に関してはあまり詳しくないのですが

映画以前から戦艦 『 大和 』 については多少は知っていました。


まさか、

その大和を指揮したお方が私の実家の近くで

誕生していたとは驚きでした。


また、

魅力ある郷土史の歴史を1つ知ることができました。


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<引用文献・HP・歌詞>

・ 吉田満著 『提督伊藤整一の生涯』 文藝春秋

・ 『 男たちの大和 YAMATO 』 公式HP

・ 長渕剛 『 CLOSE YOUR EYES 』