じいちゃんのマユゲ | ワンライフプロジェクトのブログ

ワンライフプロジェクトのブログ

平成18年(2006年)に 福岡県筑後市で 『ワンライフプロジェクト』 という活動を立ち上げました。
『たったひとつの命だから』この一行の言葉にあなたは何とつなげますか?
 

今日の朗読会を聞いて、じいちゃんのことを思い出した。

 

じいちゃんは、朝起きると外でラジオ体操をする。

茶碗一杯のご飯とみそ汁と納豆は、必ず食べる。

それから、新聞を読む。

読み終えると、ばあちゃんと洗濯物を干す。

洗濯物を干すと、自転車ででかける。

じいちゃんは、警察官だったので、見回りが大好きだ。

自転車のかごには、ゴミ袋を入れていた。

毎日袋いっぱいのゴミを拾ってくる。

いったん出かけたら、いつ帰ってくるかわからない。

近所の人と話すのも好きだからだ。

 

じいちゃんは、お酒を飲むと、昔の話をする。

学校から帰ると田んぼ仕事を手伝っていたそうだ。

家に、馬や牛もいて、その世話もしていたって。

馬にけられたこともあって、ものすごく痛かったらしい。

家に馬や牛だけじゃなく、鶏とうさぎとカメもいた。

じいちゃんが育った家は、人より動物の方が多かったって。

近所の家もみんなそうだったよって、笑って話す。

自動車もなかったし、道路はでこぼこ道で、自転車やテーラーで行き来していたって。

テーラーってなんか分からなかったけれど、だまって聞いていた。

楽しそうに笑って話すじいちゃんの顔のマユゲが、5センチくらいあって

笑うと、そのマユゲが動くのが面白くて

じいちゃんの話は面白くなかったけど、

じいちゃんのマユゲが面白くて僕は毎日聞いていた。

 

じいちゃんの話の中には、昔の風景、昔の人々の生活があった。

それが、この国の歴史なんだと、中学生の今の僕は思うけれど、

小さい頃の僕には、じいちゃんの話が大切なものだったなんて気付きもしなかった。

 

何気ない話をいっぱいしてくれたじいちゃん

1年前に天国へいってしまって、もう、あのマユゲは見れなくなったけど

沢山いろんなことを教えてくれたことに、僕は感謝している。

 

そして、僕も、僕が生きてきたこの国のことを、将来、孫に話そうと思う。

じいちゃんより、もっと長いマユゲで。

 

じいちゃん、僕は、じいちゃんと血のつながった孫で本当によかったよ。

じいちゃんが生きたように、僕も警察官になって困っている人のチカラになります。

それが、今思う僕の『たったひとつの命』のありかたです。

 

福岡県、中学2年生