今日の朗読会を聞いて、じいちゃんのことを思い出した。
じいちゃんは、朝起きると外でラジオ体操をする。
茶碗一杯のご飯とみそ汁と納豆は、必ず食べる。
それから、新聞を読む。
読み終えると、ばあちゃんと洗濯物を干す。
洗濯物を干すと、自転車ででかける。
じいちゃんは、警察官だったので、見回りが大好きだ。
自転車のかごには、ゴミ袋を入れていた。
毎日袋いっぱいのゴミを拾ってくる。
いったん出かけたら、いつ帰ってくるかわからない。
近所の人と話すのも好きだからだ。
じいちゃんは、お酒を飲むと、昔の話をする。
学校から帰ると田んぼ仕事を手伝っていたそうだ。
家に、馬や牛もいて、その世話もしていたって。
馬にけられたこともあって、ものすごく痛かったらしい。
家に馬や牛だけじゃなく、鶏とうさぎとカメもいた。
じいちゃんが育った家は、人より動物の方が多かったって。
近所の家もみんなそうだったよって、笑って話す。
自動車もなかったし、道路はでこぼこ道で、自転車やテーラーで行き来していたって。
テーラーってなんか分からなかったけれど、だまって聞いていた。
楽しそうに笑って話すじいちゃんの顔のマユゲが、5センチくらいあって
笑うと、そのマユゲが動くのが面白くて
じいちゃんの話は面白くなかったけど、
じいちゃんのマユゲが面白くて僕は毎日聞いていた。
じいちゃんの話の中には、昔の風景、昔の人々の生活があった。
それが、この国の歴史なんだと、中学生の今の僕は思うけれど、
小さい頃の僕には、じいちゃんの話が大切なものだったなんて気付きもしなかった。
何気ない話をいっぱいしてくれたじいちゃん
1年前に天国へいってしまって、もう、あのマユゲは見れなくなったけど
沢山いろんなことを教えてくれたことに、僕は感謝している。
そして、僕も、僕が生きてきたこの国のことを、将来、孫に話そうと思う。
じいちゃんより、もっと長いマユゲで。
じいちゃん、僕は、じいちゃんと血のつながった孫で本当によかったよ。
じいちゃんが生きたように、僕も警察官になって困っている人のチカラになります。
それが、今思う僕の『たったひとつの命』のありかたです。
福岡県、中学2年生