現代文講義 最強のメソッド 14 再掲 | 東大理Ⅲを目指す受験生の方へ捧ぐ

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東大2次現代文 読解の実際
今回は評論文ではなく詩に対する感想ですが
評論文に対するアプローチと大きくは変わりません

次の2つの詩は同じ作者の作品である。2つの詩に共通している作者の見方・感じ方について、各自の感想を160字以上200字以内で記せ。

1)積った雪

上の雪
さむかろな
つめたい雪がさしていて

下の雪
重かろな
何百人ものせていて

中の雪
さみしかろな
空も地面も見えないで

2)大漁

朝やけ小焼けだ
大漁だ
大羽鰯の
大漁だ

浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰯のとむらい
するだろう

(昭和60年 東大理系2次現代文 2問目)

現代文が苦手な方はこの問題をみて途方にくれてしまうでしょう
いいですか?
詩ではありますが、評論文と近しいアプローチをするのです

「一般論の裏返し」「対比関係」に詩全体がなっています
まず、作者は雪と鰯(自然)を擬人化しています

対比関係

特に1)の詩は対比関係を見抜きずらいでしょう
詩の中に人間側の事情が書いていないからです
言外に匂わせているのです
以下の対比関係です

人間にとって積雪は歓迎すべきことではない⇔雪にとっては諸々つらい事情がある


そして、「一般的な人」はこういう発想をしません

詩の作者は卓越した想像力の持ち主です

【青本の解説(抜粋)】

何を書くのかを見極めなくてはならぬ。
「2つの詩に共通している作者の見方・感じ方」をまずつかむこと。
それは、①心の純粋さと温かさの2つだ。
この2つが文章の中に何らかの形で示される必要がある。
書き出しに「筆者は、、、、、と言っている」式にイイタイコトを示さなくとも良い。
単純明快な共通点だから。
この詩は②自然と人間のかかわりがうたわれているので、自然の純粋さに対して人間の不純さを核にして書いても良い。むろん暖かさに触れる必要はある。
④機械文明の発達に伴い、心の純粋さ、暖かさは失われてゆくという視点で書くのも良い。

青本の解説→30点

青の解説の中でも特にひどい部類です

①心の純粋さと温かさの2つ

まったく違います
擬人化能力は単なるスキルであり、純粋さと必要以上に結びつけるのは的外れです
ここで重要なのは、こういった擬人化を可能とする想像力の翼を作者が持っている事です
この点に回答で言及しないと大幅失点します

②自然と人間のかかわりがうたわれている

すくなくとも雪の詩は、作中ではうたわれていません
こういう事実とことなる解説は有害無益で受験生を混乱させるだけです

自然の純粋さに対して人間の不純さ


こういうことろが駿台の最もダメな点
思い込みによる解説
論理的根拠薄弱
鰯が大漁になると、何故人間が不純と言えるのですか?因果関係破綻、無茶苦茶な論理です
逆に鰯があまりとれなかったら、人間は食料に困ります

駿台の方々
理解できますか?

こういう点まで考えて解説を書いていますか?お粗末すぎるのです

④機械文明の発達に伴い、心の純粋さ、暖かさは失われてゆくという視点で書くのも良い。

ちっとも良くないです
機械文明云々などと問題文のどこに書いていますか?
こういう「問題文中に登場しない」論旨展開はしてはいけません
解答というのは問題文中の手がかり・表現を掬い取り、能う限り、元の表現に近似な文言を用いて解答をまとめあげるのですよ

この2つの詩は一言でいうならば「物事には多面性」があると言っているんです