ここだけの話、俺って寒いの好きなんだよね。


たとえばですよ。

カップルがさ、相手のポケットに手をつっこんだりしてるのをそろそろ見かけるんだけど、

ああいうのいいなーって思うわけですよ。

何かこう、ほほえましいじゃないですか。


ああ、オマエの手は、

さっき食べたカツカレーを消化することによって得られたカロリーよりも、

冬型の気圧配置によって日本海側からやってきた外気に冷やされて奪われる熱量の方が多いんだな、


それが、たとえ愛する相手の体温を奪うことになろうとも、

生きるためには相手のポケットに手を入れざるを得ない状況なんだな、とか思っちゃうんですよ。


ただね、まだまだ太平洋高気圧が優勢な今の時期、常識ある皆さんにまず疑ってほしいのは、

二人は好きな者同士だから、ポケットの中でさえも触れ合っていたいんであって、

必ずしも手が凍傷直前なぐらい冷たいからではないのではないかっていうことですね。


でもさあ、そのうち冬も佳境を極め、サンタっていう老人が究極の寒さを僕らにプレゼントしてくれたとしたら、

そんな疑いも無くなるんじゃないかと俺は思うんです。


とてもかわいいんだけど全然知らない女の子のポケットに手を入れてても、

「ああ、この人は手がどうしようもなく冷たいんだな」とか思ってもらえるかも知れないんです。



そんな心温まる冬の話の一方で、夏ってのはある意味サムイんです。


そもそも上着とか着ないじゃん?

だから、もうこれは消去法的に、

Tシャツの胸ポケットか、ズボンの前 or 後ろポケットに手を入れることになるんだけど、


もう、カップルとか知らない人とかそれ以前に、

オマイラはそういうプレイ中なのか、とか誤解されかねない。

そんな状況で微笑みあってる二人を見ちゃった日には、子供づれのお父さんお母さんなんか凍りつくね。

これが電車の中だったら、

「人として、情けないと思う」とか広告に書かれるんですよ。



だからさあ、何度も言うように、俺は冬が好きなんだよ。