「ありがとうございました〜またお待ちしてますね〜!」
「また美味しいカクテル飲みに来ますね〜」
「は〜い、また来てくださいね〜ー」
そう言って菅井は、最後のお客さんを見送ったあとBARのドアを閉め、ネームプレートもCLOSEへひっくり返した。
「よおし完了〜」
今日はかなりの数のカクテルを作ったな・・・
あー片付け多いだろうな・・・
「あ」
片付けてある。
さすがあかねん。ありがとう。
「ねえ友香〜」
後ろを振り向くと、眠そうな目をしている理佐がいた。
「あ、理佐おはよ〜っていつから居たの!?」
「え?割と最初からカウンターの奥で寝てたけど?」
「え?全然気づかなかった・・・もぉびっくりするじゃんか〜」
5歳児みたいな笑顔を向ける理佐。
不覚にもかわいい・・・なんて言いそうになるのをこらえる。
あかねんに聞かれてたら、次の日絶対起きられないもん。
「私何時からだっけ?」
「あ、んーとね・・・」
今日の予約票を見てみる。
深夜の0時過ぎ、sakura nightのもうひとつのお仕事が始まる。
「あ、今日は新規の子かな?ゆいちゃんって子。」
うん、新規さんだ。
私より1つ下。
音楽関係のお仕事をしているらしい。
「へぇ〜初めて聞く子だね?何繋がりなんだろう」
「紹介は美波ちゃんって書いてあるから、多分そこからじゃないかな?」
「あー土生ちゃんの子かぁ」
「土生の女・・・」
理佐のほかに何人かがこのsakura nightで働いているんだけど、土生ちゃんは天性のタラシで有名。
一度指名してしまうとみんなが土生の女になるんじゃないかっていう勢いなのだ。
「ちょ、何が土生の女だって?丸聞こえだよ友香?」
「あっ」
やばい、忘れてた。
「真後ろにいましたよ~私は友香も好きなのに」
「ちょ、何そのついでみたいな言い方!」
言い争う菅井と土生、ゲラゲラ笑う理佐。
ある意味ここは、一番いいビジネス仲間なのかもしれない。あかねんも含め。
「じゃ、私はそろそろホテルの方へ向かうね?」
「おっけーいそしたらあかねん、理佐送ってきてくれる?」
車のカギをくるくる回しながら事務所の入り口に来たあかねん、かっこいい・・・。
「りょーかーい。あ、土生ちゃんでも友香に手出したら出禁にするからね!?」
「はいはいそんなことしないしない、いってらっっしゃーい」
「気をつけてねー!」