日々を過ごしていると

面影が 遠ざかる気がする



水曜日
旅立つ前の日

したことと言えば



重い荷物の買いだめと
何時も通りの食事

何時も通りの晩酌



少しだけ わたしもお酒を呑んだ



心配
しないでと
何度も繰り返し言って



何時も通り 一緒にお風呂に入って
でも
此の日は何時もより 長く湯船に浸かって



冷めない内に  と
お布団の中で

お互いの肌を 確かめ合った



前の日は
何時も不安に成るから

何度もキスを強請ったし
何度も触れてと頼んだ



身体に障る  と貴方は言ったけれど
そんなの構わないよ

何時ものように
強く噛んで
汚して



傷だらけにして  って



何度も 頼んだ



木曜日
着物姿が謂い  と言うから
家には相応しく無いけれど ちょっと華やかな柄を着た

短い髪は
寂しいから
ちょっとした飾りを着けてみた



貴方はとても喜んでくれて
似合う  と
何度もキスをしてくれた



何時ものように
小さなトランクと
ボストンバックだけの

スーツ姿の貴方と



応接間で
向かい合って

行ってらっしゃいませ  と
行って参ります  と

お辞儀を交わした



前の晩の
傷跡は其の侭で

例の如く
わたしは洗う事さえ出来ずに



貴方を見送った後
暫くひとりで泣いた



あれから
一週間が過ぎて

傷跡は 其の侭残して



今 わたしは少年の家で笑っている



不安になんか負けたら 絶対に許さないと
何時か貴方に叱咤された 言葉を思い出す



不安と云う魔物に喰われるな  と




わたしは



強く成らないと いけないのだなあ



貴方の居る場所は
きっと今は夕方

願わくば
言っていた場所には
近寄って欲しく無い



貴方を利用する人よ
このひとは本当は もうこんな事は厭だと言っているでしょう

どうして
何時迄も
このひとを 罪を理由に利用しようと云うの



でも
わたしは

其の利用している人達からの 連絡を待って居る



いいのだ
わたしは未だ耐えられる

でも
何時も
怖いから  と
決してベッドで寝ない貴方を想うと



もう
充分に

このひとは罰せられたと



そんな風に 此の平和な場所で



憶う