貴方が
帰って来て
何度目かの
大泣きをした 妙に早い朝
昨夜は
妙に
セクシーな気分の 素敵な夜だったけれど
嬉しさが 今は逆に
重たい反動に 成って仕舞う
タブレットを
べたべたに 濡らした侭
家中を
うろうろして
貴方が起きそうな時間は
狸寝入りを したけれど
ふと
頭を 撫でられて
貴方は静かに ベッドから出て
程無く お風呂に行く音がしました
静かに
部屋から 出て行くと
珈琲を淹れる
ミルの音
お湯を沸かす音
噫 こうやってたんだな なんて
今更 新鮮に
思えて仕舞うのも
妙な視線を 気にし乍ら
少年と 話をして机に向かう間も
午後 居なくなって
妙に 気配を探して仕舞うのも
「影」を欲しがるなんて
わたし
無くなる準備を しているみたいじゃないか
夕方
貴方の番号から
携帯が 鳴って
取ってみると
知らない 男性の声で
・・司法事務所と申します と
此方の番号しか無かったので
ご家族の方ですかと
携帯電話を 忘れられたので
ほんの数分前なのですが
お言付け 頂けませんか と
あの
わたくし
家内ですが
失礼ですが 主人は何を と
聞いてみたら
噫 申し遅れました
私 大使館から御紹介頂きまして
ご主人の財産と遺言等の整理業務をさせて頂いております
お戻りになられましたら
と
其処迄 言いかけて
あ と
ご主人 いらっしゃいました
失礼致しまして と
暫く物音がして
ごそごそと
声がして
わたしの 名を
貴方が 呼んだ
帰ったら 話します と
一言だけ
わたしは
かっとなって仕舞って
何 ? としか
何も言わずに
電話は 切れて
物凄くどきどき した
遺言 ?
遺言って 何 ??
如何して
今 ???
でも待って
待って と
何も聞いていなかったので
妙に 混乱して仕舞って
数分後に 貴方から電話を貰った時も
何だか
変な事を 言って仕舞って
帰って来ても
わたしは
何も 言えなくて
貴方は
此処はローソンは遠いよ? と笑って
食事に行こう
暖かく しておいで と
コートを 出してくれて
手を取って
外に居てくれるひとに 挨拶をすると
近所の わたしも時折行くお寿司屋さんに
電話を 掛けました
…知ってたんだ とやっと言うと
此処は貴女より僕の方が長いよ と
夕暮れの
駅前を
初めて手を繋いで 歩いた
途中の
煙草屋さんの前で 煙草を点けて
髪を 掻いて
うーん如何にも タイミングが悪かったな
迂闊だった
貴女 びっくりしただろうけど
貴女と同じ事を 僕もしていただけですよ? と
そんな顔 されると と
笑って
確かに
遺言については
わたしも 5月の結婚式の直後
自分の財産の分には 手をつけていました
わたしの場合
手続きが色々 複雑で時間が掛かるので
あの日
一緒に居てくれたのは
K君と
貴方の他に
会社の役員の方と 弁護士のチームが居ました
わたしの方は 後は
日本で前からお願いしている エージェントの方も居て
…でも
わたしは病気になっちゃったから 焦っただけだもん
と 言ったら
二日続けては初めてだね と
お寿司屋さんの 小さな個室で
日本酒で乾杯を しました
びっくりしたのだけれど
貴方と 此処のご主人が
こんなに親しいとは 思っていなくて
休みの日にね と 貴方は笑って
彼も此処の いなり寿司好きでしょ と
そういうご関係だったんですかー とお母さんに突っ込まれて
昨日は 気合いのフレンチだったのに
今夜は妙に アットホームな外食で
(超部屋着で…ホントすみません、、)
いや
前は
籍の方を 間に合わせるので時間が掛かって
本当は
此方の方が先だったのにね と
この間
わたしが急に「呼び出された」のも
皆 気にしているのだと
貴方と云う人が「勝手に」家族にした
わたしと云う女は どんな人間なのだろうか と云う事だったのだと
この先
僕に何が有っても無くても
きっとこう云う機会は増える
だから
ちゃんと形だけは 整えておきたかった
何時も順番が逆で 申し訳ないけれど
今回
もう少し 時間が掛かるらしいから
一緒に顔合わせは出来なかったけど
僕が居ない間に 貴女を訪ねて下さるようお願いはしました
貴女は僕に 面倒は何も託さないようにしてくれたけれど
僕は貴女しか 遺して託せるひとは居ない
判って欲しい
貴女には
こんな風にしか 示せる形が無くて と
そう 言ってくれたけれど
わたしは 此の時
無性に 腹が立って
でもこんな時程 腹立たしい程何も言えなくて
折角の 美味しいお料理にも
優しい お店のひとにも本当に申し訳がなくて
今
遺言の事なんて
聞きたく 無いよ
考えたく 無いよ
其処に 居ないのに
危ない場所に 行っちゃうのに
確かに
確かに
大切な事だと それはよく解る
わたしたちは 何も持っていない訳ではないのだ
この人にだって 大切なものは沢山有るのだ
この人の
この作業は
わたしの 為に
でも
…今じゃなきゃ 良かったのにね と
泣かずに言うのは
其処迄が
精一杯 で
帰り間際
家に今夜 居て下さる方の為に
いなり寿司を 売り切れ限界迄買って帰った(本当に此処のおいなりさんは美味しいのです)
食べている傍から 作って頂いて
此方の日本酒は とっても美味しいオリジナルが有って
貴方は其れを 一本買って
こうやって
此の街でも
貴方の 影が
出来てゆく
そして
帰って来て
今
貴方は またあちこちに連絡を取って居る
わたしには
判らない言葉を 使って
やっぱり
思い知る
未だこの人は 遠いのだ と
わたしに今
出来るのは
託された カードを唯
握っているだけ
今は
使う事がないよう 唯
祈るだけ
考えると
追い始めると
気が 狂う
この人が
わたしの上に
遺していく
影
帰って来て
何度目かの
大泣きをした 妙に早い朝
昨夜は
妙に
セクシーな気分の 素敵な夜だったけれど
嬉しさが 今は逆に
重たい反動に 成って仕舞う
タブレットを
べたべたに 濡らした侭
家中を
うろうろして
貴方が起きそうな時間は
狸寝入りを したけれど
ふと
頭を 撫でられて
貴方は静かに ベッドから出て
程無く お風呂に行く音がしました
静かに
部屋から 出て行くと
珈琲を淹れる
ミルの音
お湯を沸かす音
噫 こうやってたんだな なんて
今更 新鮮に
思えて仕舞うのも
妙な視線を 気にし乍ら
少年と 話をして机に向かう間も
午後 居なくなって
妙に 気配を探して仕舞うのも
「影」を欲しがるなんて
わたし
無くなる準備を しているみたいじゃないか
夕方
貴方の番号から
携帯が 鳴って
取ってみると
知らない 男性の声で
・・司法事務所と申します と
此方の番号しか無かったので
ご家族の方ですかと
携帯電話を 忘れられたので
ほんの数分前なのですが
お言付け 頂けませんか と
あの
わたくし
家内ですが
失礼ですが 主人は何を と
聞いてみたら
噫 申し遅れました
私 大使館から御紹介頂きまして
ご主人の財産と遺言等の整理業務をさせて頂いております
お戻りになられましたら
と
其処迄 言いかけて
あ と
ご主人 いらっしゃいました
失礼致しまして と
暫く物音がして
ごそごそと
声がして
わたしの 名を
貴方が 呼んだ
帰ったら 話します と
一言だけ
わたしは
かっとなって仕舞って
何 ? としか
何も言わずに
電話は 切れて
物凄くどきどき した
遺言 ?
遺言って 何 ??
如何して
今 ???
でも待って
待って と
何も聞いていなかったので
妙に 混乱して仕舞って
数分後に 貴方から電話を貰った時も
何だか
変な事を 言って仕舞って
帰って来ても
わたしは
何も 言えなくて
貴方は
此処はローソンは遠いよ? と笑って
食事に行こう
暖かく しておいで と
コートを 出してくれて
手を取って
外に居てくれるひとに 挨拶をすると
近所の わたしも時折行くお寿司屋さんに
電話を 掛けました
…知ってたんだ とやっと言うと
此処は貴女より僕の方が長いよ と
夕暮れの
駅前を
初めて手を繋いで 歩いた
途中の
煙草屋さんの前で 煙草を点けて
髪を 掻いて
うーん如何にも タイミングが悪かったな
迂闊だった
貴女 びっくりしただろうけど
貴女と同じ事を 僕もしていただけですよ? と
そんな顔 されると と
笑って
確かに
遺言については
わたしも 5月の結婚式の直後
自分の財産の分には 手をつけていました
わたしの場合
手続きが色々 複雑で時間が掛かるので
あの日
一緒に居てくれたのは
K君と
貴方の他に
会社の役員の方と 弁護士のチームが居ました
わたしの方は 後は
日本で前からお願いしている エージェントの方も居て
…でも
わたしは病気になっちゃったから 焦っただけだもん
と 言ったら
二日続けては初めてだね と
お寿司屋さんの 小さな個室で
日本酒で乾杯を しました
びっくりしたのだけれど
貴方と 此処のご主人が
こんなに親しいとは 思っていなくて
休みの日にね と 貴方は笑って
彼も此処の いなり寿司好きでしょ と
そういうご関係だったんですかー とお母さんに突っ込まれて
昨日は 気合いのフレンチだったのに
今夜は妙に アットホームな外食で
(超部屋着で…ホントすみません、、)
いや
前は
籍の方を 間に合わせるので時間が掛かって
本当は
此方の方が先だったのにね と
この間
わたしが急に「呼び出された」のも
皆 気にしているのだと
貴方と云う人が「勝手に」家族にした
わたしと云う女は どんな人間なのだろうか と云う事だったのだと
この先
僕に何が有っても無くても
きっとこう云う機会は増える
だから
ちゃんと形だけは 整えておきたかった
何時も順番が逆で 申し訳ないけれど
今回
もう少し 時間が掛かるらしいから
一緒に顔合わせは出来なかったけど
僕が居ない間に 貴女を訪ねて下さるようお願いはしました
貴女は僕に 面倒は何も託さないようにしてくれたけれど
僕は貴女しか 遺して託せるひとは居ない
判って欲しい
貴女には
こんな風にしか 示せる形が無くて と
そう 言ってくれたけれど
わたしは 此の時
無性に 腹が立って
でもこんな時程 腹立たしい程何も言えなくて
折角の 美味しいお料理にも
優しい お店のひとにも本当に申し訳がなくて
今
遺言の事なんて
聞きたく 無いよ
考えたく 無いよ
其処に 居ないのに
危ない場所に 行っちゃうのに
確かに
確かに
大切な事だと それはよく解る
わたしたちは 何も持っていない訳ではないのだ
この人にだって 大切なものは沢山有るのだ
この人の
この作業は
わたしの 為に
でも
…今じゃなきゃ 良かったのにね と
泣かずに言うのは
其処迄が
精一杯 で
帰り間際
家に今夜 居て下さる方の為に
いなり寿司を 売り切れ限界迄買って帰った(本当に此処のおいなりさんは美味しいのです)
食べている傍から 作って頂いて
此方の日本酒は とっても美味しいオリジナルが有って
貴方は其れを 一本買って
こうやって
此の街でも
貴方の 影が
出来てゆく
そして
帰って来て
今
貴方は またあちこちに連絡を取って居る
わたしには
判らない言葉を 使って
やっぱり
思い知る
未だこの人は 遠いのだ と
わたしに今
出来るのは
託された カードを唯
握っているだけ
今は
使う事がないよう 唯
祈るだけ
考えると
追い始めると
気が 狂う
この人が
わたしの上に
遺していく
影