昨日は
少年の家に 行く事に成って
其の前に ちょっとだけ付き合って下さい と
新宿のデパートへ
其処で初めて見た
「少年の服を買う 貴方」
店員さんと 親しげに話し
暫く 来られなくなる事を告げ
わたしの事を 妻だと 紹介して
欲しい物が有るのなら
たまには強請ってみて下さい と 言ってくれたから
じゃあ「選んで」 と 頼んで
シルバーのバングルを 買って貰った
華奢なバングルだけど
簡単には 外れない
包まずに直ぐ 貴方に着けて貰った
暫く此処にも 来られないからと
家に入る時 ぽつりと貴方は言って
わたしは
もう一度
「最後に」
貴方と 少年が
二人で話す所を 見たかった
本当に 唯
其れだけで 良かった
此の光景は
もう二度と 見ることの出来ない
わたしの 宝物
今の 少年と
今の 貴方は
もう二度と 交わう事は無い
きっと彼らも 其れはよく 解っているのだ
2階のホールで
K君の 仕事を見乍ら
たまに リビングの二人を見下ろすと
懐かしいような
寂しいような
愛おしいような
悔しい ような
不思議な 気分に 成る
K君も 昨日は案外無口で
唯 傍らには確かに
「彼女」が 居た
帰る間際
珍しく 少年が見送ってくれて
じゃあな と
一言だけ 貴方に声を掛けた
はい と
一言だけ 小さく答えた貴方は
其の言葉を 発する前
一瞬下唇を 噛んだ
わたしは最近 気が付いた
この人は何か 物思いのある物言いをする時
下唇を噛む 癖が有る
此の時貴方は 確かに
少年に 「別れ」を告げたのだ と
そう 思った
彼はきっと 「普通の」大人に成れると
貴方の其の言葉 其の通りに
此れから
少年は 一人
未来へと 進んでゆく
庇護してくれた「貴方」と云う存在は もう彼には必要が無い
あなたたちはもう
わたしの知っている あなたたちでは 無い
そして
貴方は 一人
過去を 清算しにゆく
慈しむべき「彼」と云う存在は 貴方の手を巣立っていった
此の二人が
次に交わる 其の形而は
今迄とは 全く違う
不可視と云う名の
あたらしい
濫觴
少年の家に 行く事に成って
其の前に ちょっとだけ付き合って下さい と
新宿のデパートへ
其処で初めて見た
「少年の服を買う 貴方」
店員さんと 親しげに話し
暫く 来られなくなる事を告げ
わたしの事を 妻だと 紹介して
欲しい物が有るのなら
たまには強請ってみて下さい と 言ってくれたから
じゃあ「選んで」 と 頼んで
シルバーのバングルを 買って貰った
華奢なバングルだけど
簡単には 外れない
包まずに直ぐ 貴方に着けて貰った
暫く此処にも 来られないからと
家に入る時 ぽつりと貴方は言って
わたしは
もう一度
「最後に」
貴方と 少年が
二人で話す所を 見たかった
本当に 唯
其れだけで 良かった
此の光景は
もう二度と 見ることの出来ない
わたしの 宝物
今の 少年と
今の 貴方は
もう二度と 交わう事は無い
きっと彼らも 其れはよく 解っているのだ
2階のホールで
K君の 仕事を見乍ら
たまに リビングの二人を見下ろすと
懐かしいような
寂しいような
愛おしいような
悔しい ような
不思議な 気分に 成る
K君も 昨日は案外無口で
唯 傍らには確かに
「彼女」が 居た
帰る間際
珍しく 少年が見送ってくれて
じゃあな と
一言だけ 貴方に声を掛けた
はい と
一言だけ 小さく答えた貴方は
其の言葉を 発する前
一瞬下唇を 噛んだ
わたしは最近 気が付いた
この人は何か 物思いのある物言いをする時
下唇を噛む 癖が有る
此の時貴方は 確かに
少年に 「別れ」を告げたのだ と
そう 思った
彼はきっと 「普通の」大人に成れると
貴方の其の言葉 其の通りに
此れから
少年は 一人
未来へと 進んでゆく
庇護してくれた「貴方」と云う存在は もう彼には必要が無い
あなたたちはもう
わたしの知っている あなたたちでは 無い
そして
貴方は 一人
過去を 清算しにゆく
慈しむべき「彼」と云う存在は 貴方の手を巣立っていった
此の二人が
次に交わる 其の形而は
今迄とは 全く違う
不可視と云う名の
あたらしい
濫觴