「貴方」が 眠って居ます



金曜日
わたしはMちゃんと久し振りに 少年の家に来ました
体調がそんなに悪く無かったのと

「付け睫毛」の使い方を

どうしてもK君に 聞きたくて



正直 髪がすっかり無くなって仕舞って
少年やK君に会うのは 相当恥ずかしかったのだけれど
まあ仕方無いし 此れも現実だと
妙な開き直りで 少年の家に来ました



鬘を被っても良かったのだけれど
(K君の知り合いのスタイリストさんは とっても自然な鬘を作って下さいました…
わざわざカットに来て貰った時には感動して涙が出ました!!)
そんなに気張って行く所でもないしなあ なんて
初めは気が抜けた事を考えていたのですが

わたしの変わり様を見て
一番驚いていたのは 少年では無くSちゃんでした



彼女がはらはらと 涙を零すものだから
何だかわたし 初めは悪い事をしたと思って

そして少し 惨めな気持ちになって

改めて 何とも言えない「悔しさ」が こみ上げて来て

女二人で

泣いて



K君は そんなわたしたちを
どんな風に思って 眺めたのだろう
もっとお洒落に関しては がっつんがっつん言う彼が

この日は妙に 優しかったのです



付け睫毛は普通 睫毛の上に付けるものですが
わたしは睫毛も もう殆ど残っていなくて
付ける場所の位置決めが難しくて
そうしたら K君が

ひろのんちゃん アイラインの位置  と

軽くペンシルで アイラインを引いてくれて
それだけで何だか 目元が随分復活?した気分に成って



K君は女装の「プロ」なので お化粧は相当な腕前で
ちょっと試してみようかと するすると睫毛を付けてくれました



…何だか元よりゴージャスなんですけど  汗



Mちゃんは唯々びっくりしていて
こんなに「際」で 大丈夫なんですか と
わたしはメイク道具も 肌が変わった為にすっかりおざなりに成って仕舞って

瞼は肌が薄いから「のり」が大事なんだよ と
彼が出してくれたのは 敏感肌でも大丈夫だと云う「黒いのり」で



ひろのんちゃんは今はこっちのがいいかもね と
黒いのりなら付け睫毛とのりが アイラインの替わりに見えて自然なのだと(し 知らなかった…)
お薦めの付け睫毛と カットの仕方まで教えてもらって
自分で 付けてみました

睫毛の次は眉
こちらもすっかり無くなって仕舞ったので(…涙)
自然に見えるように ペンシルとパウダーの使い方を教えて貰い



…でも 改めてK君のメイク知識+持ち数の凄さに圧倒され…
敏感肌かなあ 無香料ならこれっしょ ペンシルはねー と
ストックから次々と…で 出る出る… 笑



結局 平たい芯のペンシルと
2色のパウダーのダブル使いで 眉の描き方もマスターして
彼の持っているたくさんの鬘の中から 
ちょっと前までの自分のような 少しくせのあるロングの鬘を借りてみたら

鏡の中に居たのは



折角だからちょっとメイクしてみよっか と
K君が お化粧をしてくれて



頼むから泣くな と 
そう言われたけれど

思わず泣いて仕舞いそうな位



「何も無かった頃のわたし」が 其処に居て



この鬘 暫く貸して と
思わず頼んで

K君はいいよ と 手入れの仕方も教えてくれて



昨日は何だか嬉しくて
其の侭の格好で少年の家で御飯を食べて

「貴方」が少年の家に来た時
この人は少し 驚いた風で



暫くわたしの顔を見た侭 何も言わずに

貴方はこの時 何を憶ったのだろうか



少年の家では やっぱりわたしと「貴方」は別々の部屋で 笑
お化粧を落とすと やっぱり「現実」が其処に有って

少しだけ 泣いて仕舞いました



今朝
早く目が覚めて 外を見たら
庭の桜の木が とても綺麗に咲いていて

少し寒かったけれど
庭に出てみたら
廊下の窓から 少年が顔を出していて



間もなく庭に下りて来た彼と
少し 話をしました



考えたんだけど
やっぱりオレ 9月になったら一回 向こうの大学に帰ろうと思う と

それまでこっちで単位だけ取って
そうしたら少しは 交渉のネタも増えるし
論文はもう出来たよ  と



9月



その頃には 終わってるかな 
未だかも識れないね と 言ってみた

アイツはどう言ってた と 聞かれたから

5月に一度 一緒に行こうって言われてる と言ったら
無茶するなよ と
半分終わったら先生とも相談するの と言ったら

そっか  と



其の侭 何時の間にか手を繋いで
暫く一緒に桜を見ました

何時か 彼と河川敷を歩いた日を思い出しました
つい この間のような



ずうっと 昔の事のような



弟のように 思ってきたけれど
今の少年は あの時とは「違う」



大切な 大切な 

「あなた」



そーいえばさ と 少年がぽろっと言ったので
何 と聞いたら

アイツ「電池切れ」みたいだぜ  と



昨日の晩から
今 この時間まで
何度 部屋を覗いても

貴方はずうっと 深く眠った侭で



そう云えば この人は
わたしが眠るのを 何時も見届けて

夜起きる度にも必ず この人は起きていて

何時も何時も



どんなときも わたしを



今夜は此処で寝てもいい と 少年に言ったら
しょーがないな と K君と一緒にエキストラのベッドを 部屋に運んでくれて
お布団も暖房も きちんと入れてくれて

目の前で眠っているこの人を見乍ら
今 書いています



噫 
何度でも憶う

わたしはこんなにも 

こんなにも 恵まれているのだと



貴方 少しは躯が休まりますように
何時も何時も

本当に 本当に有り難う



みんなと 貴方に

愛してるよ




おやすみなさい