…さっきはしんみりして仕舞った…

わたしは雪国の人間では無いので(雪が多い地方の方本当にすみません…)
何だか東京に居ると 雪ってちょっと「特別感」が有りますよね

想い的にもそうだし
余り 嫌なイメージって無いし

強いて言うのなら 積もったとき靴選びに慎重になるくらい 笑

なので「貴方」のように
そんな想いを「雪」に持っている人がいるのか と云うのは
わたしみたいな 唯人にとっては ちょっとした驚きで




一昨日此処に訪ねてきた
貴方の「父親代わりの人」Jさん

この方の話を 今日はさせて下さい



わたしは一昨日会ったので もう5~6度目でしょうか
少年の家に居るように成ってから 何度もお会いしています
「父親代わり」と名乗ったのも 他でも無い この方御本人で

今きっと50代前半だと思います
貴方の「本当のお父様」とも 殆ど歳は変わらないと聞きました



一体どうして
そもそも子を預かろうと思ったのですか と
ある時聞いた事が 有りました
Jさんは 今迄ずうっと独身でいらして

すると

身の回りの世話を「勝手に」してくれる 口うるさい「マダム」が向かいに居るのだと
そして こんな仕事ばかりをして居ると

とてつも無い「空洞」を 時折感じる事が有るのだと



あの教会の事は 昔から知ってた
あそこの司祭は俺の親父の昔なじみでね
若い頃から何度か出入りはして居たんだけれど

彼を見たのは 半ば「直感」かなあ
勿論直ぐには決めはしなかったけれど
思ったより懐いていたし まあ「面差しが似てるな」とは思ったんだけどね



空洞



それなら「女性」には それは求める事は無かったのですか と
ほら 其処の「マダム」とか と半ば冗談で言ってみたら
君は「イケる」口だね と たちまちJさんは大笑いして

あんな「鞠玉」みたいな「おっかさん」に女を感じろってのは俺には無理だな
彼女は気は優しいんだけどね 彼も殊の外彼女の事が大好きだし(←これは超意外でした)



うーん昔からね
俺は余り 女性に「夢」を見られなかったんだ
女性の君にする話じゃあないが
「欲」が見え隠れするとね 俺はたちまち萎えちまうんだな

ほら有るだろう
こんなにしてる「のに」とか あんなにして「あげた」とか
俺はああ云う言葉を聞くと 背筋が寒く成るんだ



じゃあ此の女は何の為に 俺に近づいたんだろう ってね 



Jさんの此の言葉には 少しどきっとしました
確かにわたしにも 当て嵌まる事が何度も有った

「貴方」にも

言った事が 有った



Jさんと云う人は 今はある組織の高官で
大使館に自由に出入り出来る程の 文字通りの「実力者」です

ですが同時に
「貴方」と云う人の「師匠」でもあり

「貴方」をその世界に入れた その張本人でもあります



どうして
この人に「こんな仕事」をさせようと思ったのですか と何時か聞いてみたら
Jさんは 頭をわしわしと掻いて



まあ此れは「欲」 だよな





ぽつりと 言いました



彼は昔から物覚えがとても善くて 運動神経もとても善かった
こいつは使えると 俺の中の「何か」が言ったんだろうな
実際何も教えないのに 彼は何時しか色んな事をもう覚えていた

彼が「あいつの息子」だと確信を持ったのは 彼が「仕事」を始めた後だよ



彼と俺は「親子」じゃあ無い
でもね 俺は彼に「教わった」事も沢山有るんだ
夜遅くにフラットに帰って 食事を待っている子供が居るって云う事は
明かりが点いている部屋に 俺を必要としてくれる子供が居てくれると云う事は

俺の中の「空洞」を埋めてくれる
何かが確かに 有ったんだよ 



でも
俺は 自分でそれを 断ってしまった
彼が「仕事」を上手くやる度に 俺は増々「後悔」していった

彼が「花屋」を選んで此の部屋を出て行った時 俺は正直「安心」をした



噫彼は俺を「殺してくれた」んだと

そう 思ったのさ と



でも



今も一緒に居るんですよね
それは どうしてですか と

少し勇気を出して 聞いてみたら



貴方が何時か Jさんに言ったのだと
総てを知って尚 こんな事を犯しても尚 傍で見守ってくれたのは

「あなただけだった」 と



貴方と云う人が 若い形で誰にでも「わざと」丁寧な言葉で話そうとするのは
彼なりの「反抗心」なんじゃないのかな と Jさんは笑って言いました

初めは 俺に対しての其の言葉遣いが
とんでもなくひりひりと 「痛かったんだけどね」 と

でも 何時からか

やっぱり彼の為ならば 自分は何かを与えてあげたいと思うのは



自分で勝手になったくせに 俺はすっかり「親」になってたんだな と
つくづく思ったよ 





人の繋がりって云うのはね
思い込みひとつで 「本気」になって仕舞うんだ
其処に「血」云々が絡んでくるのは
きっとそんな「枷」すら無いと 
人間ってのは「それを思い込めない」生き物だからなんじゃないかと俺は思う と

でも俺は知った 彼に教えてもらった

「何も無くても」ちゃんと彼と俺は 繋がっていられるって事をね






例えば
少年と貴方の場合



あの二人はそれを見い出す事が きっと出来たのだと



そして

貴方と「わたし」の場合



これから
それを見いだす事は



出来たらいいな と



今考えて居て  心からそう思います