悪い予感 と云うものは
本当に 有るのでしょうか



貴方が居なくなる迄の間
少年は いつも
口癖のように 言っていました



アイツの言う事は
気持ち悪い位 よく当たるんだ





昨日も眩暈が酷くて
夕方に 一旦休み
結局 遅くなってしまって



最近 此の家での作業内容から考えると
昼夜の逆転は いた仕方の無いことだと
ある程度 覚悟はして居ましたが

今朝になって
また 重い鈍痛が有って



あれから病院に 行って居ないでしょう



という
貴方の言葉が
頭の隅で 何だか離れなくて

(なので今朝方の内容は そんな事を書いたのです)



折角書いたのだし
行っておこう と



急に思い立って
少年には 会社からの呼び出しだと云って(ご免なさい)
K君に 今日の分の作業を託して
病院へ 行ってきました



電車で行ったのだけれど
立っているのも 最早辛くて
疲れも有って 目は閉じた侭で

ヒールの靴は 止めればよかったと
少し 後悔し乍ら



病院は 大して混んでいる事も無く
順番は 直ぐに回って来たのだけれど

やはり とても長い時間が 
掛かりました



あの時も 診て頂いた先生は
わたしの事を 憶えていらして

男性が受付を済ませたので
印象に残っていたのだと
あれから来院しないので 気になって居たと
下半身を隠したカーテン越しに お話をされていた



一緒にモニターを見乍ら
内診の所見を伺った時



増えた筋腫と
腸に癒着を起こしている事を
丁寧に そして淡々と 説明して下さいました



唯 此処の部分の影が気になります と
わたしの右の 卵巣の「後ろ」を映して



腫瘍で有る事は間違い無いのだけれど と
血圧と 血液検査をする事になって

簡易の検査ですが 直ぐに行うので
暫く待ってください と
何だかもう 疲れてしまって
待合室で 項垂れたい位に 眠くなってしまって



一瞬 名を呼ばれても気付かない位
朦朧としてしまった



血圧が低いですねと 先生が仰って
此処暫く 余り眠れていません と
わたしは呆けた侭 答えてしまって



今調べたのは Ca125 と云う腫瘍マーカーの簡易検査なのですが 
陽性が出ています と

紹介状を書くので
早い内に 此方の病院で 精密検査を受けて下さい と



それと
暫くは きちんと薬は飲んでください と



陽性が出たからと云って
良性疾患の場合も数多く有りますが
必ず 受診なさって下さい と 念を押され



何だか
唯 驚くばかりで
どうしていいのか 分からない侭



タクシーで多摩川の家に来て
今 書いています



少年の家に帰る気には到底成らず
お昼間なら 貴方も此処には居ないから



思ったよりも
貴方の気配は無くて
寝室では無く 客間として使っていた部屋に
あのトランクがきちんと置かれていて

壁に掛かったスーツだけが
何とか 貴方の存在を 教えてくれて居ました



別に決まった訳では無いし
早期発見ならば 大した事も無い筈 と
言葉にに ぽつぽつと出してみて
自分を 励まし乍ら




少年の「仕事」は
今 始まったばかりで



わたしは 今抜ける訳にはいかない
わたしが 今離脱してしまったら



「目的」が 果たせない



何度か
電話を



掛けようと 思ったのだけれど
何て話せばいいんだろう
少年は 恐らく
わたしの「身体」の事なんて 何も識らない筈で



少しくらい
ちゃんと話せ と
云われたばかり だったのに



でも
今帰って わたしは我慢出来るだろうか
今夜を普通に 過ごせるのかな
折角ベッドに横になったのに
結局 眠れない侭



夕方
色々な選択肢を 考えて 
でも他に 如何しても思いつかなくて

貴方に 貰ったメールに
返信を してみました



今此の電話を持っている人が
貴方では無かったらどうしよう と
また 散々打ち直して



先日は有難うございました
是非ご相談したい案件が有り
ご多忙を承知で ご連絡させて頂きました
お手隙のときで結構ですので 携帯迄ご連絡下さい と

署名を付けて 送信しました



妙にビジネスっぽい 文章にするしか無くて
でも 少しだけ すっきりして
18時になっても もし電話が無かったら帰る と決めて



すると
18時 少し前

電話が 鳴りました



どうしましたか

と 一言だけ



部屋で待っているから
ご免なさい どうか許して と
わたしは もう其れだけしか 言えなくて



彼には
何か適当に 言っておいてください
9時には 必ず帰ります と



電話を切った後
少年に 電話を掛けて

今日は 本当に疲れて居るから 多摩川の家で寝るね
本当にご免なさい と

呆れた少年に自愛の言葉を貰って
本当に 本当に 申し訳なくて



貴方の「秘密の部屋」は 今回はこの部屋なのです
何時もの貴方なら 誰にも其れは 言っていない筈



そして
少年は「携帯電話を探してしまう」のです
余り余計な事は 言ってはいけないと
わたしも 何故か必死になってしまって



此処に書いていたら
もし少年が 知っていたらと思うのだけれど
此処まで必死で書いても 
気持ちの整理が まだ 付きません



あと少ししたら
貴方が 此処に帰ってくる



先ずは話して 聞いてもらって
そして



貴方に
「良い予感」を



どうか どうか



貰えますように