リョウと会うようになって少し経った頃、リョウは周りの目を気にせずに
ゆっくりと逢いたいと言った。
私も同じ気持ちだったが、それは少し怖かった。
外にいるぶんには周りの目が気になる手前、自分の気持ちもセーブ
できるが、二人きりになってしまったら、、、自分の気持ちが止められ
ないような気がしていた。
近頃よくつかう、駅にあるカフェで待ち合わせをする。
お茶をしながら手をつなぎ、色々たわいもないことを話す。
それだけなのに時間が進むのが速くてもどかしく思う。
「時間ってさぁ、なんで楽しい時は速く過ぎちゃうんだろうね」
「もっともっと一緒にいたいね」
まるでまだ中学生だか高校生の恋愛みたい。
一秒でも長く一緒にいたいと思った。
そんな風に想いが募った瞬間 『リョウと二人きりで一緒にいたい』
と思うようになった。自分でも驚いた。
何か心境の変化があったのか、何かを思い切ったのか、自分でも
よく判らなかった。
その気持ちをリョウに伝えると
「じゃ、行こう」
その場をすっくと立ってカフェの出口へ向かう。
私は心臓がバクバクしていた。
いつもはお互い向かい側のホームでその駅を起点として反対方向に
離れていく。そんな電車の中はとても寂しかったのに今日は違う。
「なんだか恥ずかしいね」 と私は言った。
リョウはその意味を判ってくれたのか、黙って微笑んで頷いた。
少しするとリョウの部屋がある駅に到着。
駅から彼の部屋までの距離を歩きながら心の準備をしようと思っていた。
だが、あっという間に部屋に着いてしまった。
ドアを開けると予想外にキレイに掃除されている部屋。
彼の部屋にある全てのものに見つめられているかのように緊張した。
少し時間が経つと緊張はほぐれた。
気を遣ってくれたのか、リョウがテレビをつけ、二人ともテレビに見入って
あっという間に私が帰る時間になった。
「もう帰らなくちゃ」
「・・・そっか」
リョウは無言で私をHUGした。
そのHUGがどのくらいの時間だったのかはわからない。
けれど、彼の鼓動と手に入った力強さが私をその場に留まらせた。
『一緒にいたいという気持ちを払拭しないといけない、帰れなくなる』 と
思いきって彼から離れた。
リョウの家から駅までの間、あっという間についてしまう道を私達はとても
のんびりと歩いた。
駅の改札で私達は寂しい気持ちを抑えながら笑顔で手を振った。
また何かが動き出した瞬間だった。

