【凱旋門賞(日本時間7日=パリロンシャン競馬場、芝2400メートル)特別連載:ローカルウルフ難波田がロンシャンで吼える(5)】現時時間5日朝のクリンチャーはダートコースで軽めのキャンター調整を行った。トモの筋肉に張りが出て、本来の活気あふれる動きが戻ってきた。そんな中で水、木曜にクリンチャーを担当する長谷川助手と食事をしたのだがそこで興味深いことを聞いた。
「今年のフォワ賞は例年に比べてかなり時計が速かった。クリンチャーはハナへ行って内、外から一気に来られてヒルんでしまった。最後は流し気味でダメージはなかったけど、勝ち馬はビッシリ追っていたし、馬場が硬くてかなりの反動があるんじゃないかな」とライバル陣営の状況を指摘する。
同日に行われた同条件のGIヴェルメイユ賞の勝ち時計が2分26秒39の高速決着で、勝ち馬カイトサーフは凱旋門賞を回避した。ここからは推測になるが、馬場が硬くて疲れ、反動が出やすいだけにフォワ賞の上位組にもその心配があり、評価を下げた。レース当日は雨予報で稍重~重での開催となりそうでクリンチャーにとっては願ってもない。最短コースを利して、タメるだけタメて直線にかければ歴史に名前を刻む瞬間が訪れるかもしれない。
地元メディアをはじめ、日本の報道陣も英国牝馬2頭の優位は揺るがないと伝えているが、それでは穴記者としての面目が立たないのでキューガーデンズを本命にした。立ち回りの器用さに加え、馬の能力を最大限に引き出すことにたけているムーア騎乗は心強い限り。
実際にパリロンシャンの馬場を歩いて内枠の先行馬が有利な芝状態を確認したが、日本で騎乗した際にも外枠の馬をいつの間にか内へピタリとつけているムーアなら理想的な競馬をしてくれるはず。取材を通してエネイブル、シーオブクラスの強さが浮き彫りになったが、フランスでブランド物を大量買いしてしまった手前、馬券で大きく儲けて帰らなくてはいけなくなっただけにここは有り金全部をキューガーデンズに突っ込むつもりでいる。
