大相撲で昨秋、貴ノ岩への傷害事件を起こして引退した元横綱・日馬富士(34)=本名・ダワーニャム・ビャンバドルジ=の断髪式が30日、東京・両国国技館で行われた。モンゴル出身力士の先輩の元横綱・朝青龍ら約400人が大いちょうにはさみを入れ、師匠だった伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が止めばさみを入れた。

 元日馬富士は同じモンゴル出身の横綱である鶴竜を露払い、白鵬を太刀持ちに従え、最後の土俵入りも披露。「第二の人生がある。泣くわけにはいかない。笑顔で」と断髪式でも涙を見せなかった。断髪式に伴って十両と幕内の取組も行われたが、けがで10月の秋巡業への休場を届け出ている貴ノ岩は出場しなかった。

 18年間の土俵人生については「あっという間で、悔いはない」と総括。思い出の取組には、序ノ口優勝した2001年春場所と、3横綱が休場して一人横綱として最後の幕内優勝を逆転で飾った昨年秋場所を挙げた。

 一方、貴ノ岩の師匠の貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会に退職する意向を伝えたことについては「自分は協会を離れているので」とコメントを避けた。大相撲界全体に対しては「ただ感謝している。誰にも恨みとかはない」と語った。

 今後は「少し休んで世界を旅して新しい夢を見つけたい」。9月にはモンゴルに、自身が出資した幼稚園から高校まで一貫制の学校も開校しており「日本の文化や相撲も教え、将来的に大相撲に入門する子も出てきてくれれば」。幕内優勝9回の元横綱は晴れやかな表情で語った。【飯山太郎】