累計18万部のベストセラー小説「乱反射」のドラマ放映を記念し、制作発表記者会見が9月11日、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われた。会見には、主演を務めた妻夫木聡さん、井上真央さん、原作者の貫井徳郎さんらが登壇。物語や登場人物に対する心境や撮影中のエピソードなどを語った。
「乱反射」は、「ある悲劇」によって、幼い息子の命を奪われてしまった夫婦の苦悩を描いた物語。
亡くなった子供の父親で、事件の真相を追う新聞記者の加山聡を演じた妻夫木さんは、「自問自答しながら過ごす毎日だった」と撮影中の心境を語る。
「貫井さんの作品は、命や罪など、普遍的で、人としてどうあるべきかを問われる物語が多い。今回の撮影も、一日一日が辛い気持ちで、それだけに時間の経過を実感しながら過ごした日々でした」
また、聡の妻の光恵を演じた井上さんは、「愛する我が子を失った母親をどう演じればいいのか、撮影前は悩みました。でも、演技をする中で、妻夫木さんに、悲しみ、苦しみ、喜び、色んな感情のスイッチを押してもらったような気がします」と語った。
意外にも、今作が初共演となる二人。妻夫木さんは、井上さんを「母性が豊かな人。意識してコミュニケーションをとらなくても大丈夫だと思えるくらい、最初から心を開いてくれた」と絶賛。一方、井上さんも「自然体で、気負わずに夫婦を演じられた」と振り返りつつ、「最初はもっとストイックで、撮影前に携帯とかいじってたら怒られるかと思った」と妻夫木さんに抱いていたイメージを告白。妻夫木さんはとっさに「風評被害です(笑)」と否定していた。
また、原作者の貫井さんは、撮影現場を見学に訪れたときの話を披露。「不幸を表現するのは、ある程度技術でできると思うが、幸せな空気を表現するのはセンスが必要だと思います。二人の共演シーンを見たとき、夫婦の間にある幸せな雰囲気がぱっと伝わってきて、すごいなと感心しました」と、二人の息の合った演技を讃えた。
その後、印象に残っているシーンを問われると、なんと全員が「夫婦二人でサンドイッチを食べるシーン」と同じ回答。このシーンは、原作にはないものだという。
妻夫木さんは、「ただ二人で、黙々とサンドイッチを食べるシーンなんですけど、生命力を感じさせるというか……。深い悲しみの中でも、『これから二人で生きていくんだ』という誓いのようなものを感じました」と語った。
イベントの後半には、息子役の小岸洸琉くんも登場。撮影後、会うのは久しぶりのようで、井上さんは「大きくなったね」と小岸くんの成長に目を細めた。ドラマでは、親子3人で旅行に出かけるシーンがあるが、撮影前に親睦を深めるため、実際に3人だけでピクニックに行ったという。
妻夫木さんは「そのとき雨上がりだったんですけど、洸琉くんが、すごい勢いで坂を駆け下りて、泥まみれになってしまって……」と、軽いハプニングがあったことを告白。「本気で焦った」と苦笑しながらも、井上さんは「3人で過ごした楽しい時間があったからこそ、それを思い出しながらその後も母親を演じることができた」と、本物の親子のような絆の深さを感じている様子だった。
最後に妻夫木さんは、「ドラマの中では、息子の死の原因がどこにあるのか、怒りの矛先をどこに向ければいいのか、ずっと探りながら演じていた。そうした悲しみや怒りの感情が乱反射して、最後に自分に返ってきたときに『それでも隣に大切な人がいる』ということが、これからも生きていく理由につながっていく。そんな夫婦の静かな歩みを見てもらえれば」と、見どころを語った。(ライター・澤田憲)


「乱反射」は、「ある悲劇」によって、幼い息子の命を奪われてしまった夫婦の苦悩を描いた物語。
亡くなった子供の父親で、事件の真相を追う新聞記者の加山聡を演じた妻夫木さんは、「自問自答しながら過ごす毎日だった」と撮影中の心境を語る。
「貫井さんの作品は、命や罪など、普遍的で、人としてどうあるべきかを問われる物語が多い。今回の撮影も、一日一日が辛い気持ちで、それだけに時間の経過を実感しながら過ごした日々でした」
また、聡の妻の光恵を演じた井上さんは、「愛する我が子を失った母親をどう演じればいいのか、撮影前は悩みました。でも、演技をする中で、妻夫木さんに、悲しみ、苦しみ、喜び、色んな感情のスイッチを押してもらったような気がします」と語った。
意外にも、今作が初共演となる二人。妻夫木さんは、井上さんを「母性が豊かな人。意識してコミュニケーションをとらなくても大丈夫だと思えるくらい、最初から心を開いてくれた」と絶賛。一方、井上さんも「自然体で、気負わずに夫婦を演じられた」と振り返りつつ、「最初はもっとストイックで、撮影前に携帯とかいじってたら怒られるかと思った」と妻夫木さんに抱いていたイメージを告白。妻夫木さんはとっさに「風評被害です(笑)」と否定していた。
また、原作者の貫井さんは、撮影現場を見学に訪れたときの話を披露。「不幸を表現するのは、ある程度技術でできると思うが、幸せな空気を表現するのはセンスが必要だと思います。二人の共演シーンを見たとき、夫婦の間にある幸せな雰囲気がぱっと伝わってきて、すごいなと感心しました」と、二人の息の合った演技を讃えた。
その後、印象に残っているシーンを問われると、なんと全員が「夫婦二人でサンドイッチを食べるシーン」と同じ回答。このシーンは、原作にはないものだという。
妻夫木さんは、「ただ二人で、黙々とサンドイッチを食べるシーンなんですけど、生命力を感じさせるというか……。深い悲しみの中でも、『これから二人で生きていくんだ』という誓いのようなものを感じました」と語った。
イベントの後半には、息子役の小岸洸琉くんも登場。撮影後、会うのは久しぶりのようで、井上さんは「大きくなったね」と小岸くんの成長に目を細めた。ドラマでは、親子3人で旅行に出かけるシーンがあるが、撮影前に親睦を深めるため、実際に3人だけでピクニックに行ったという。
妻夫木さんは「そのとき雨上がりだったんですけど、洸琉くんが、すごい勢いで坂を駆け下りて、泥まみれになってしまって……」と、軽いハプニングがあったことを告白。「本気で焦った」と苦笑しながらも、井上さんは「3人で過ごした楽しい時間があったからこそ、それを思い出しながらその後も母親を演じることができた」と、本物の親子のような絆の深さを感じている様子だった。
最後に妻夫木さんは、「ドラマの中では、息子の死の原因がどこにあるのか、怒りの矛先をどこに向ければいいのか、ずっと探りながら演じていた。そうした悲しみや怒りの感情が乱反射して、最後に自分に返ってきたときに『それでも隣に大切な人がいる』ということが、これからも生きていく理由につながっていく。そんな夫婦の静かな歩みを見てもらえれば」と、見どころを語った。(ライター・澤田憲)
