およそ3年振りの世界戦が1ヶ月後に迫った長谷川穂積。
実は僕がこの春一番気になる試合が、この長谷川の試合ですので、
例によってダラダラと書き連ねてみようと思います。
キコ・マルティネスvs長谷川穂積…この試合の世間的な下馬評ってどうなんですかね?
まだ1ヶ月あるので当然かもしれませんが、
専門誌などを見ても、世界戦に臨む長谷川の心情的な話が中心で、
現在の両者を比較した上での試合展望のような記事が見当たりません。
恐らく長谷川の口からマルティネスの印象であったり、
どこからどう攻略するかといった話が一切出ないので、
こういう内容の記事にせざるを得ないのでしょう。
僕が今回、というか最近の長谷川で気になっている点はここです。
「最近の長谷川は、色々考え過ぎではないのか?」
これが僕の懸念であり、今回のお題です。
あくまで記事やらブログやらを読んだだけでの感想ですが、
この試合に向けた長谷川のコメントを読んでいると、
「集大成。どんな結果になっても受け入れられる状態で挑む」
「自分が本当に強いのか知りたい」「自分のために自分の過去と戦う」
「ボクシングを嫌いなままで終わりたくない」etc…
とにかく心情面、それもネガティブな発言のオンパレード。
長谷川が相当な覚悟で試合に臨もうとしているのは理解できますが、
一方で、僕には気持ちが試合に向いていないようにも思えます。
僕の個人的な長谷川評はとても高いところにあります。
実績面を考慮しても、全盛期の実力は…「西岡と同等」
これは僕にとって、「歴代の日本人ボクサーで最高の選手」と同じ意味です。
山中も内山も、まだその域には達していない。
日本人では西岡と長谷川だけ…そういう立ち位置だと思います。
しかし、その西岡でも「世界最強」の頂には立てなかった。
「西岡と同等」とはあくまで「世界有数」であって、「世界最強」ではない。
ところが長谷川本人は、自分の立ち位置を「世界最強」だと考えている節があります。
(現在ではなく、かつてその位置にいた…という意味で)
バンタム級王者時代に芽生えた、高い次元での自惚れ…
これがここ数年の長谷川迷走の根底にあると考えます。
モンティエルに負けた時に気付くべきだった。
自分の立ち位置がたった独りの「世界最強」ではなく
あくまで「世界有数」のボクサーの一人だということに。
ジョニゴンに負けた時に気付くべきだった。
これが「世界最強」と格下との試合ではなく、
同等の「世界有数」の選手同士の試合だったということに。
当時の「ジョニゴン戦は気持ちが入っていないから負けた」…というのは、
気持ちが入っていれば負けないという上から目線に他ならない。
今回の「強い王者に挑戦して本当に自分が強いか知りたい」…というのは、
適当な世界戦で今の実力を計りたいという自惚れに他ならない。
率直に言って、もっと相手を見ろよ…と思います。
相手のマルティネスにも失礼ですし、そもそもこの試合は王者vs13位…
格上ぶっていられる立場でもありません。
それともうひとつ、やたら引退を匂わせるのも気にいらないですね。
この試合を最後に引退するのかは分かりませんが、「年内引退かも」とか、
「準備さえやり切れば悔いなく辞められる」とか…。
正直「やりたいならやって、辞めたいなら辞めろ」くらいの気持ちです。
そんなことは試合が終わった後にゆっくり考えればいいこと。
そんな思いは外に発信せず自分の内に秘めていればいいこと。
この辺からも試合に集中しているとは到底思えず、
終わった後に後悔だらけの引退になりそうな気配が漂います。
幸い前戦は、世界王座陥落後の3年の中ではベストの内容でした。
ボクシング自体は復調して来ていますし、
年齢による衰えも現状では感じられません。
相性的にも打ち合うクセさえ出さなければ、3階級制覇の可能性は高いと思います。
とにかく普通にやって欲しい…一ファンとしてはそこを強く願っています。
終わった後に悔いを残さない最善の方法は、試合に勝つことです。
あれこれ考えるのは止めて、マルティネスに勝つことに邁進して欲しいですね。
それが出来れば、自ずと自らの疑問の答えも出るはずです。
「やっぱり俺は、長谷川穂積は強かった」と…。