私は漫画家「しげの秀一氏」のファンです。かつては少年マガジンに連載していたバイク漫画である「バリバリ伝説」を8年間読み続け、陸上をモチーフにした作品を挟んで始まった「頭文字D」も愛読しておりました。その後、興味はDVDとかの動画に移行して行きましたが、今でも大切な所蔵品となっています。しげの氏が描く絵のタッチは躍動感が漲っていて、その臨場感と言うか絵のインパクトが半端なかったです。

バリバリ伝説は峠道をバイクで走っていた高校生が、やがてレースの世界に没入。世界の頂点をめざすというバイク好きには堪らないストーリー展開で、私も夢中で毎週のお楽しみとして読み続けました。頭文字Dは、中学生の頃から家の手伝いで運転させられてた主人公が、いつのまにか驚異的な運転技術を身につけ、走り屋としての伝説を築いていくという、これも車好きには堪らないストーリーでした。

以前、兵庫県西宮市の事業所にいた頃、夜勤が終わったタイミングで誘われて、いつも、甲山経由で六甲山に走りに行ってる大学生の、車に同乗させて貰った事がありました。所謂、ドリフト体験としての同乗でした。彼は大阪の某理系大学の学生で、クラブ活動として、自動車部に所属していましたが、日頃の運転から、サイドブレーキをクイッと引いて、後輪を瞬間移動させる事を得意としていました。
 

その夜の私は、三半規管を刺激されまくりで、乗車中は、何とかギリギリに持ち堪えていたものの、車を降りた瞬間、激しい嘔吐に襲われて、吐き続け、その後は、大地に横たわって落ち着くのを待ちました。しかし、この体験は、私自身に走ることへの興味を増すキッカケとなります。当時のマイカーは、ISUZUジェミニ・ディーゼルだったので、走りには向かず、結局、日産のマーチ・ターボをレンタルする事にしました。

 

そして、深夜に1人で六甲山を走りに行く事にしました。登りは変にイキがって、カッコつけたものの、下りはカッコつける余裕もなく、ブレーキ踏みまくりの情けない走りでした。そんな時、後方から2台の車が迫って来ました。私は、直ぐにウインカーを出して、左側に車を寄せると、その車は、瞬間、ハザードを点滅させて、「有難う」と合図して、カッ飛んで行きました。

 

2台の車種は、共にHONDAのCR-Vでしたが、ツインドリフトを決めながらも、ハザードを2回点滅させると言う、凄まじい下りのパフォーマンスを見て、これは、手に負えるレベルじゃないなと、現実に戻った次第です。天気の良い日曜日に、裏六甲の大きなコーナーの内側に陣取って、ハングオンで攻めるバイクを、コーナーの内側で観覧した事がありました。彼らの中には、ガムテープを膝にグルグル巻きにして、限界までバイクを傾けて、走り込んでいた人もいました。

 

その後は、裏六甲を攻めていた面々が総出演してのパフォーマンス大会が、表六甲と裏六甲の分岐にある駐車場で行われた際には、ギャラリーで参加して、拍車喝采で彼等を鼓舞したものでした。彼等のパフォーマンスは、例えば、大型バイクでジャックナイフとかウイリーを決めたり、ブレーキングターンやアクセルターン、シートの上に乗って操縦する等々、曲芸レベルの技術のオンパレードでした。

 

そんな猛者のひとりに、前出のガムテープグルグル巻き男もいました。その彼と帰るルートが一緒になり、信号待ちになったタイミングで話しかけて見ました。「凄いテクニックやったね!」すると彼は、「自分も山におったんか!」と得意満面のドヤ顔でした。その後、信号が変わり、颯爽とフル加速して行く彼の動きに、即座に反応して彼に気付かせずに後追いした結果、次の信号待ちで彼が停止した際、背後に私がいるのを認めて、ギョッとした顔をしていました。

 

彼は、まさか、彼にとっては格下の私が、真後ろにいるとは考えもしなかったのでしょう。酷くプライドを傷つけられたに違いありません。彼は信号が変わるや否や、無理な追い抜き、追い越しで急加速して必死で逃げて行きました。私は、それ以上は追うつもりは無かったので、猛然とスパートしていった彼は、無理な追い抜き、追い越しをしていたので、事故にならなくて良かったと思いました

 

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