『カイト・ランナー』
カイト・ランナー /著・カーレド・ホッセイニ (訳)佐藤耕士
「アフガニスタンの子供たちの間では、冬の伝統行事として、
凧合戦が行われていた。ガラス粉を塗った特殊な凧糸を使って、凧同士を戦わせる。
相手の糸を切ったほうが勝ちなのだが、凧合戦はそれだけでは終わらない。
糸が切れて漂っていく凧を追いかけ、真っ先にとったものが、
その凧を自分のものにできるのだ。凧を追いかけるこの子供たちのことを、
カイト・ランナー、という・・・」(←訳者の方のあとがきより)
『きみのためなら、千回でも』 という邦題の映画の原作となった小説。
私にとって、とてもなじみのある音のする題名の本。
友情、罪、救済、、許すこと、、などなど深く考えさせられた。
生まれてまもなくから、来る日も来る日も、いろんな時間をともにした、
純粋で誠実な友達、、その大切な友達がとてもつらく悲しい目にあっているのを目撃しながら、
逃げ出してしまった自分を心の底で責め続けた主人公の心の再生?の物語。
舞台のほとんどはアフガニスタン。
民族問題、政治問題、いろんなことが起こる状況のなか、
主人公アミールとハッサンの子供時代の何気ない日常の描写は、
厳しい冬の中の、あたたかな日差しのよう。
アミールのヒーロー的存在で、誰よりも愛し愛されたかった父との言葉のやり取り。
愛情が大きければ大きいほど、離れざるを得なくなるやるせなさや弱さ、
傷ついたものの、とってもおっきな愛で、自分の大切なものを守り、
その大切な人の弱ささえ、包み込んでしまうような強さ。
後半、頭の中でいろんな場面がフラッシュバックしてきて、さまざまな想いや言葉とリンクしていく。
誰かを傷つけてしまったとき、一番許すことが難しいのは、
自分自身なのかもしれない。
ベースに流れるテーマはシンプルでないけど、
物語は、わかりやすい文章で、切なく、美しく進んでいく。
全体に悲しみ、哀愁が漂ってるのに、
読後はなんだかすがすがしかった。
アフガニスタンでは、映画に行って帰ってくると、みんな結末をしりたがるんだって。
でも、ここでは、この辺で・・・。
それにしても、、
『ささやかながら、驚くべきこと』を見つけたときの喜びは素敵。
誰が、ワンダフルって言葉を作ったんだろう・・。
私も、純粋な子供たちのように、大切なものをまっすぐ見つめて、走りたいな。
